オフィスビルの不動産投資 メリット&デメリットと今後の動向

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オフィスビルの不動産投資 メリット&デメリットと今後の動向

「不動産投資」でインターネット検索をすれば、マンションや一棟物アパートなどの居住用収益物件について解説されているものが多くヒットします。一方で、近年の不動産価格の上昇基調を受けてオフィスビルを資産運用先として検討する投資家も増えてきています。とはいえ、新型コロナウイルスによる市場環境の変化もあり、企業が借りているオフィス床を返上する動きが増えたと連日ニュースになっていたのは記憶に新しいところ。現在の状況はどうなっているのでしょうか。

 

今回は不動産投資のオフィスビル投資におけるメリット&デメリットに加え、近年の市況や今後の見通しについて解説します。

不動産投資でオフィスビルに
注目が集まる理由とは

 

不動産投資やREIT、不動産クラウドファンディングで運用される投資物件には、オフィスや居住用の収益マンション、商業施設、ホテルなどさまざまな種類がありますが、近年オフィスビルへの投資に注目が集まっています。その背景には、居住用物件が供給過多になっているという実態があります。現在、日本は少子高齢化で人口が年々減っていて、厚生労働省が発表した2019年の「人口動態統計」では死亡者数は戦後最多の約138万人、出生数は過去最少の約86万人でした。つまり、2019年のたった1年間で日本の人口は約50万人減っていることになります。

 

この記事のイントロでもご紹介の通り、インターネット検索をすれば「少ない金額からサラリーマンでも区分マンションへの投資が可能」などといった広告が多く見受けられます。これらはもちろん間違いではありませんが、それだけ「購入したい人」のニーズが高いことを意味します。つまり、私たち今村不動産のようにな供給側であるデベロッパーの視点で見ると、物件を開発すれば売れるという状況なのでどんどん供給が進んでいるということです。ですが、中長期的に考えるとどうでしょうか。人口減少が進む日本において、果たしてこの先どれだけマンションや住宅への賃貸ニーズが続くのかは疑問でしょう。だからこそ、私たちは調査をもとに中長期的に安定的な市場ニーズがある事業用物件を中心に開発しているのですが、本稿とは少し話が逸れますので、気になった方は弊社ホームページをご覧いただければ幸いです。

 

話を戻してオフィスビルへの投資ですが、近年オフィスビルに注目が集まる理由として、第一に需要の高さがあげられます。オフィスビルは企業などが事業を行うために利用するため、立地条件の良い物件は今後も価値が下がりにくく、売り物件がなかなか出ないようなエリアであれば、購入時よりも高い価格での売却も期待できます。また、そのような物件は空室率も低く、景気の変動による賃料の上昇も期待できます。

 

これらを勘案し、近年不動産投資への王道であるマンションやアパートではなく、オフィスビルへの注目が高くなってきているのです。

 

オフィスビルへの不動産投資
メリットとデメリット

 

<メリット>
1 中長期的な安定した収益が見込める

オフィスビルはマンションなどの居住用収益不動産と比べてテナントの賃貸期間が長いという特徴があります。居住用物件の入居期間は学生や単身世帯で2〜4年、ファミリー世帯で4〜6年と言われるのに対し、事業用物件であるオフィスビルのテナントの平均入居期間は9〜10年だと言われています。区分マンションなどの収益マンションと比べてテナントの賃貸期間が長いという特徴によって、安定した賃料収入が期待できるでしょう。賃料に関しても居住用物件であるマンションやアパートに比べて割高に設定される傾向があります。

 

また、立地条件の良い物件は今後も価値が下がりにくく、売り物件がなかなか出ないようなエリアであれば、購入時よりも高い価格での売却も期待できます。

 

2 運用時の費用負担が少なく済む

マンションなどの居住用物件の場合、入居者とオーナーの負担割合においては入居者有利な傾向にあります。例えば、マンションやアパートの退去時の原状回復費用や設備の修理費用などは基本的にはオーナー負担ですが、オフィスビルの場合は原状回復費用は原則テナント側の負担になります。また、マンションに比べオフィスビルなどの事業用物件は設備面がある程度定型化されているところにも注目です。基本的には壁、床、天井さえあればオフィスとしては成立し、その他に最低限求められるとすればOAフロア化ぐらいのもの。一方、居住用物件は近年ますます設備が進化しており、システムキッチンや風呂・トイレ別の仕様、ウォシュレットの常設、インターネットの標準装備など、時代の変化とともに小規模な物件であってもニーズに合わせて進化しています。つまり、ある程度時代に合わせた設備的な魅力がなければ入居者を集めるのが困難になりつつあるのに対し、オフィスビルは立地さえ良ければテナントがつくケースも多く、ビル設備そのものにそれほど費用をかける必要がない場合もあるのです。

 

3 保証金を活用することが可能

オフィスビルなどの事業用物件は、住居用物件よりも入居時の保証金が高額で、賃料の3~12ヶ月分程度で設定されることが一般的です。また、居住用不動産の敷金は入居者の債務や故意・過失による損耗・毀損にかかる復旧費用を除いて退去時に入居者へ返還する必要がありますが、オフィスであれば契約によっては一定割合の償却が認められ、全額返還の必要がないケースもあります。受け取った保証金をオーナーが運用することが可能な点が、マンションなど居住用物件に比べると有利なポイントだとといえるでしょう。

 

<デメリット>
1 取得費用が高額になりがち

さまざまなメリットがあるオフィスビル投資ですが、1番のハードルは資金でしょう。一般的にオフィスビルへの投資は高額なものが多く、例えば数十億円以上するビル一棟は個人ではなく、資金力のある企業が購入する場合がほとんどです。おおよそ物件価格の3割前後の自己資金が必要とされており、個人投資家はもちろん資金力がない中小企業の場合は長期ローンを組もうとしても銀行の審査を通すことが難しいのが現状です。つまり、オフィス物件の投資市場の参加者はプロの事業者がほとんど。個人投資家がオフィス市場に参入しても、有益な情報が個人レベルにまで回ってきづらいというデメリットもあります。

 

2 市場や経済環境に左右される

最大のデメリットは経済環境の影響を受けることです。マンションなどの居住用物件であればいくら景気が悪くてもニーズ自体がなくなることはありませんが、オフィスビルの場合は事業者の経営状態が悪化すると事業縮小や撤退などのリスクが高まります。賃料の値下げ交渉を受けることもあるでしょう。今回の新型コロナウイルスによるオフィス縮小やテレワークへの移行はまさにその例です。

オフィスビルは一度テナントが退去すると、次の入居がなかなか決まらないケースや、家賃を大きく下げざるを得ないケースも見られます。キャッシュフローが大きく悪化してしまうリスクがあるのです。

 

 

投資物件としての
オフィスビルの今後の市況

 

以上を踏まえたうえで一番気になるのは、まだまだコロナ禍の出口が見えない現在、今後投資物件としてのオフィスビルへの投資はありか否かではないでしょうか。確かに、リモートワークの普及によるオフィス需要の減少やニーズの変化によって、投資物件としてのオフィスビルに関して懸念を示す意見があるのも事実です。しかし、実際のところはどうでしょうか。2020年の緊急事態宣言下においてリモートワークが普及したこともあり、一部では「オフィス不要論」が喧伝されましたが、2022年11月の現在はその報道も少なくなり、緩やかに出社へと戻す企業が増えてきています。

 

 

とはいえ、市場としてはまだまだ調整局面が続いています。オフィス仲介大手三鬼商事やニッセイ研究所のデータによると、2022年6月の東京都心5区の空室率は6.39%(前月比+0.02%)、平均募集賃料(月坪)は23ヶ月連続下落の20,273円となっています。他の主要都市については、新規供給の少ない札幌と仙台の空室率が低下する一方、横浜や名古屋、大阪、福岡の空室率は上昇基調にあります。また、募集賃料は仙台を除いて前年比プラスを確保しています。

また、成約賃料データに基づく「オフィスレント・インデックス(第2四半期)」によると、東京都心部Aクラスビル成約賃料は29,073円(前期比▲0.4%)、空室率は3.8%(前期比+0.5%)となっています。

 

 

2023年以降、東京大阪を中心にかなりの量のオフィスが新たに供給される予定があり、企業のオフィス戦略見直しに伴う集約移転の動向には注目です。不確実性があるからオフィスへの不動産投資は危ないと決めつけるのではなく、市場動向を随時把握しながら、エリアや建物規模、テナント動向を見極めることが大切だと言えます。

 

 

まとめ

今回はオフィスビルへの投資について、基本的なメリットデメリットと合わせて今後の市況についてご紹介させていただきました。新型コロナ収束の兆しが見えてくれば取得競争がやや緩和し、取引利回りが上昇する可能性はありますが、オフィスの人気は根強く、低利回りのまま推移する物件も出てくるでしょう。

また、リモートワークを取り入れながら働き方の変化とともにオフィス形態も変化することが予想されます。オフィスや店舗物件など事業用物件をメインに取り扱う私たち今村不動産も、市場のニーズや経済環境を見極めながら、投資家様や投資企業様に有益な情報をお届けできるよう尽力してまいります。

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