物流施設の需要が拡大中! 不動産投資における物流施設選びのポイント

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物流施設の需要が拡大中! 不動産投資における物流施設選びのポイント

不動産投資の王道といえば賃貸住宅やオフィスビル、テナント施設が一般的だと考えられていますが、近年では倉庫をはじめとした物流施設への投資需要が高まっていることをご存知でしょうか。コロナ禍による社会環境の変化により、オフィスやテナント施設の需要が減少した一方、Eコマースの拡大に伴い物流施設の需要が高まり、投資マネーが集中しているのです。

 

今回は物流不動産投資の概要や特徴、メリット、デメリット、実際の投資方法などについて紹介します。物流不動産投資に興味がある方はぜひ参考にしてください。

進化を続ける物流施設
近年の物流施設の特徴は

物流施設という言葉を聞いて、まだまだいわゆる「倉庫」をイメージする方が多いのではないでしょうか。しかし近年ではインターネット通販などEコマースが発達したことで、倉庫のあり方も変化してきています。たまにニュースでも取り上げられるネット通販大手のAmazonに代表されるような倉庫のように、在庫管理・注文・出荷までロボット技術が取り入れられ、人の手をかけずにスピーティーに行う仕組みを持った倉庫が増えてきているのです。「在庫を保管しておく場所」から最先端の技術を駆使した「物流施設」へ。一昔前の倉庫とはすでに別の不動産だと言える進化を遂げています。

 

そんな物流施設ですが、ビジネスモデルも近年変化しています。ひとつの企業が物流に必要なトラックなどの交通手段、荷物を保管しておく倉庫、それらを使用するのに必要な人的資源やソフトウェアなどをすべてそろえるとなると相当な時間と資金がかかります。そこで、先進的な大型倉庫を活用したビジネスモデルでは、いくつかの企業が集まり、お互いの役割を決めたうえで合理的な仕組みを構築しています。まず、不動産ディベロッパーが投資家から資金を募って近代的な大型物流倉庫を建設・取得します。その物流施設で業務を担うのは3PL企業(3rd Party Logistics)と呼ばれる、商品の調達、荷揃え、出荷、配送などの物流サービスをワンストップで提供する企業です。その企業に対して、複数の企業が物流業務をアウトソーシングするのです。

 

ちなみに、従来型倉庫機能に加え、在庫管理や仕分けなどを行ういわゆる「先進的物流施設」が日本に初めて導入されたのは2002年。当時、日本初投資となる米プロロジスが、独物流大手DHLの専用施設を東京・江東区に建設したのが始まりとされています。このように、建設・取得した大型物流施設を貸したり、施設での物流サービスを提供したりすることで利益を狙うのが、近年の物流不動産のビジネス形態なのです。

 

 

2020年から大幅に増えた
倉庫など物流施設への投資

経済産業省の調べによると、Eコマースの市場規模はこの10年間で倍以上の規模に膨れ上がっています。(出所 経済産業省「令和元年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)」)2019年の日本におけるEC市場規模は19兆円超と推定されています。その中でも「モノの移動を伴う」物販系のEC化率は7%弱。この10年でEC市場は2.5倍に拡大し、EC化率も増加の一途をたどっています。

 

このような市場背景をもとに、不動産投資の分野でも物流施設への投資が積極的になされています。シービーアールイー株式会社が公表した資料によると、昨年2021年の主な投資対象として投資家が選んだアセットタイプ上位3つは、物流施設、オフィス、住宅とでした。前回調査に対して、オフィスが9ポイント減少し、住宅は8ポイント上昇。中長期的なオフィス需要の見通しに対する不透明感からオフィスに対して慎重な投資家が増加した一方で、より安定した収益に対する期待から住宅を選ぶ投資家が増えたと考えられます。なかでも顕著なのは物流施設の伸び率でしょう。新型コロナの始まった2020年に一気に投資需要が増加し、2021年も変わらず推移しています。

 

 

 

今後物流施設の価格が
さらに高くなる可能性も

アセットタイプ別の価格水準は、物流施設において投資家の16%が「売主の希望価格を上回る」と回答し、「コロナ前と比べて下がらない」も77%に上っています。一方、「下がる」と回答した投資家は、オフィスが49%(収益が安定している大型ビル)と66%(バリューアッド可能な大型ビル)を占め、商業施設とホテルに至っては9割を超えました。

 

 

堅調な需要に支えられて賃料が上昇傾向にある物流施設は、投資家間の競争の激化により取引価格がさらに上昇する可能性があると言えます。一方で、オフィスは投資対象としての重要性に変わりはありませんが、空室増加や賃料の減少見通しを背景に、買主の価格目線はやや低下する可能性があります。商業施設やホテルにいたっては、需要の回復までに相当な時間を要すると見られており、取引では相応のディスカウントが求められることになるでしょう。

 

堅実な需要に支えられている物流施設は、賃料も上昇していき、取引価格も上がっていく可能性が高くなっています。さらに、前述したEコマース市場の規模拡大もあいまって、最先端の技術を持った物流施設がさらに必要となる可能性も高いと言えます。このように倉庫など物流施設の需要が高まると分かっている現在、不動産投資の選択肢に入れる投資家も増えていくと予測されます。

 

物流施設への不動産投資が
人気の理由とは?

以上のように需要が高まる一方の物流施設ですが、不動産投資におけるメリットとしてどんなことが考えられるか見ていきましょう。

 

まず、物流施設はまだまだ終わりの見えないコロナ禍において強い投資だと言えます。国や企業がテレワークを推進したことに伴ってオフィス需要は大きく低下しました。これまで不動産投資の主要アセットだったオフィスへの投資ですが、現在では都心部のオフィスでもまだまだ空室が多いこともあり、安定的な賃料収入が見込めない状況となっています。安定的な賃料を得られないということは、取引される物件価格自体も減少傾向します。一方で、コロナ禍の巣ごもり需要も追い風となり、ネットスーパーやフードデリバリーなど物品以外でも続々と新しいサービスが生まれるなど、Eコマース市場は大きく伸びました。物流施設への需要も高まり、賃料や取引価格も上昇傾向にあります。

 

また、人口減少の影響を受けないことも不動産投資として物流施設を選ぶメリットだと言えるでしょう。ご存知の通り日本の人口減少は少しずつ確実に進んでいます。今現在は需要があるようなマンションやアパートであっても、人口減少が進むと住宅用不動産の需要が減少するなど、今後は少なからず影響が出てくるはずです。しかし、倉庫など物流施設は人口減少の影響を大きく受けません。なぜなら、個人に対して不動産を貸し出すのではなく企業に対して貸し出すため、人口減少に関わらず倉庫を使いたい企業がある以上、倉庫の需要は保たれるからです。

 

また、住宅やオフィスと比較して、物流施設は規模が大きく、契約期間も長くなる傾向にあります。この背景には、倉庫を利用するのは大規模な法人であること、エリアの制限があること、競合する物件が少ないことなどが要因として挙げられます。施設を拠点としてビジネスが展開されるため、他の業種と比較してテナントの入れ替えが少ないという特徴もあります。そのため、物流不動産は収入が見込みやすく、他の不動産物件への投資と比べて低リスクな運用が期待できるのです。

 

 

物流施設への不動産投資
注意点とデメリット

 

用途の多様さ、初期コストの低さなど、魅力的な物流施設の不動産投資ですが、事業用として貸し出すからこそ注意しなければならないポイントがいくつかあります。まず、物流施設は小さいもので数億円から数十億円、大きな施設なら数百億円規模です。個人投資家が1人で投資しようとしても、資金的にかなり厳しいジャンルだと言えるでしょう。

 

また、物流施設は物件自体で差別化が難しいということが挙げられます。他の物件と比較してテナントの入れ替えが少ないというメリットはあるものの、たとえば近隣に最新設備を備えた物流施設ができた場合、テナントが流れてしまう可能性があり、代替テナントをすぐに見つけるのも難しくなってきます。さらに、自然災害時のリスクも考えておくべきです。台風や地震などの影響で荷崩れや停電が起こると、施設内の物流機器や冷蔵施設などが稼働できず、物流が滞る可能性も出てきます。2018年に台風の影響で神戸でコンテナが流された事故は大きなニュースになりました。

 

需要が多く一定の利益が見込めるとはいえ、もちろんリスクもあることを理解しておく必要があります。

 

 

リートへの投資も
物流施設投資の手法

前述のように個人投資家が物流施設への投資、物流施設による資産運用を行うのは難しいといえます。数億円から数百億円という規模の資金的な問題があり、なおかつテナントとの信頼関係も構築する必要があるためです。そんな場合は、物流施設に投資を行うREIT(上場投資信託)への投資を活用することで、物流不動産投資が可能です。物流施設への投資に特化、または物流施設を含む不動産に投資するREIT銘柄は下記のようなものがあります。

 

東海道リート投資法人(2989)
大和ハウスリート投資法人(8984)
日本ロジスティクスファンド投資法人(8967)
東急リアル・エステート投資法人(8957)
オリックス不動産投資法人(8954)
伊藤忠アドバンス・ロジスティクス投資法人(3493)
CREロジスティクスファンド投資法人(3487)
三菱地所物流リート投資法人(3481)
三井不動産ロジスティクスパーク投資法人(3471)
スターアジア不動産投資法人(3468)
ラサールロジポート投資法人(3466)
野村不動産マスターファンド投資法人(3462)
日本プロロジスリート投資法人(3283)
GLP投資法人(3281)
産業ファンド投資法人(3249)
SOSiLA物流リート投資法人(2979)

 

REITは1口から投資可能で基準価額が最低投資額となります。だいたい1口6万円程度から60万円程度で投資できるのも魅力です。

 

まとめ

今回は物流不動産投資の概要やメリット・デメリット、実際の投資方法などについて紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。Eコマース市場が拡大する日本において、物流施設への需要は増加傾向にあり、投資対象として注目する方も少なくありません。ただし、個人では大規模な物流施設への投資は資金的に難しく、テナントとの関係構築からテナントのビジネスモデルへの理解等を得るのも簡単ではありません。立地によっては代替テナントを見つけるのも困難になります。高額の投資となる物流施設への不動産投資は、本業もしくは本業外の事業として投資に取り組む企業にとっては魅力的なアセットです。もし個人で投資を検討されるなら、REITを使うのがおすすめです。

 

物流施設は、たかだか10年前までは投資対象として人気があったとまでは言えませんでした。市場環境や動向によって人気の出る不動産投資のアセットは変わります。今は、産業用、もしくはインフラとしての物流施設に焦点が当たるようになりましたが、数年後には全く異なるアセットが人気になっているかもしれません。

 

今村不動産は総合ディベロッパーとして倉庫など物流施設はもちろん、幅広い不動産物件の開発およびテナント誘致の実績があります。個人・法人問わずご希望に合わせてご提案させていただきますので、ぜひ一度ご相談ください。

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