不動産投資の利回りの最低ラインは? 利回りの目安にすべき指標

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不動産投資の利回りの最低ラインは? 利回りの目安にすべき指標

不動産投資をするうえで重要なポイントになるのが「利回り」です。利回りとは、投資した費用と回収した費用の割合のことで、何年で回収できるのかを知るための指標となります。ざっくりとした計算になりますが、利回りが3%であれば資金の回収に30年以上かかりますし、10%であれば10年で済むということです。ただし、特に注意すべきは不動産投資は利回りの数字だけを追いかけていては失敗することも多いという事実です。利回りが高いからといって、必ずしも「儲かりやすい」という単純な話ではありません。

 

投資用不動産を運用していると、想定外の出費が発生することも、当初予定していた計画通りにいかないことも多々あるでしょう。物件の運用コストやリスク、税金なども考慮する必要があるのです。重要なのは、投資家が自分自身の投資目的とリスク許容度をよく考え、その上で投資先を選ぶこと。不動産投資は、投資家にとって大きなリターンをもたらす可能性がある一方で、投資家自身が十分に調査・分析を行わなければリスクを伴う投資なのです。

 

とはいえ、利回りの正しい知識や計算方法を知っていることは不動産投資を行ううえでの基本であることに違いはありません。そこで今回は不動産投資の利回りの定義や利回り最低ライン、目安にすべき利回りの指標などについて解説していきます。

そもそも不動産投資の利回りって?
まずは利回りの基本をおさらい

そもそも「利回り」とは「投資額に対してどのくらいのリターンがあるのか」を表す指数です。不動産投資における利回りとは、不動産を購入してその不動産から得られる収益に対して、投資した資金に対する利益率のことを指します。不動産投資の利益には、主に賃料収入や売却益などがあります。これらの収益を物件購入時の投資額に対して割合で表現することで、利回りを計算することができます。その意味で、利回りは物件の収益力を見る指標のひとつと言われています。

 

かなり乱暴に説明するならば、物件価格1億円の投資物件の利回りが10%であれば、1年間で1000万の資金回収が可能です。つまり10年間で投資金額を回収でき、それ以降は純粋に収益になるということです。不動産投資の利回りは、購入価格に対する年間の収益を示すものであるため、高い利回りが得られるほど、投資家にとっての収益が大きくなるという訳です。

 

ただし、一言に「利回り」と言っても、実際は表面利回り、実質利回り、想定利回り、現行利回りといったように、さまざまな利回りが存在します。不動産投資関連の広告や情報サイトに表示されている利回りは一般的に「表面利回り」を指すことが多く、この利回りが高いからといって良い物件だと判断するのは早計です。利回りの示す意味を理解したうえで、あくまでひとつの目安としてその根拠を確認するプロセスを経て、慎重に物件選びを進める姿勢が大切です。

 

不動産投資の利回りは大別すると
「表面利回り」と「実質利回り」

不動産投資における利回りは大きく分けて、表面利回り(グロス利回り)と実質利回り(ネット利回り・NOI利回り)の2種類があります。

 

まず表面利回り(グロス利回り)ですが、不動産投資の投資用物件の購入価格に対してどの程度の年間収益が得られるかを表す指標、つまり物件価格に対して1年間で得られる賃料収入はどれくらいの割合になるかといった収益性を表す指標です。これは先ほど説明した計算式のように簡単に計算でき、不動産会社のチラシやWebサイトなどにもよく掲載されているので、投資対象の候補となる物件を比較するときの指標になります。ただし注意すべきは、不動産の保有や維持管理などにかかるコストが計算に含まれてい点で、その名の通り表面的な数字に過ぎません。そのため、実際に投資したときの利回りは、物件の運用や修繕コストが発生するため表面利回りよりある程度低くなります。

 

これに対して実質利回り(ネット利回り)は、表面利回りに購入の諸経費や年間の維持費など各種コストを加味した指標になります。不動産投資は物件そのものの取得金額以外にも固定資産税や都市計画税、登録免許税、不動産取得税などといった税金、管理組合に支払う管理費・修繕積立金に加えて、賃貸管理管理会社への管理委託費、修繕費などの賃貸運営に必要な管理コスト、そして、火災保険料や地震保険料などの保険料などさまざまなコストがかかります。

 

 

収益以外の視点で見た場合の
「想定利回り」と「現行利回り」

さらに、不動産投資では表面利回りや実質利回りなど収益性を考慮したもの以外の考え方も存在します。それが「想定利回り」と「現行利回り」です。想定利回りとは、投資物件が常に満室という条件で得られると想定される利回りを指します。言い換えるなら、想定利回りは得られる収益の限界値です。想定利回りはそもそも空室の発生を想定しておらず、計算対象となる物件における最も高い家賃を全戸に適用することもあるため、実態よりかなり高い値になりがちです。都心から離れたり、地域のニーズに合っていない物件だと空室も多くなってしまい、想定利回り通りにはいかないことも珍しくありません。一方の「現行利回り」は現行の入居状況における利回りを指します。

 

前述のように多くの不動産投資関連の広告では表面利回りが掲載されていますが、さらにつっこんで調べると想定利回りだったということも珍しくありません。コストの定義が人により若干バラバラであり、実際に運営してみないと計算出きないコストもあるなどの理由から、シンプルな表面利回りしか掲載されていないケースが多いのです。

 

これでは不動産投資の計画を立てることすらままなりません。不動産投資において重要視すべきは実質利回りです。さらに築古物件の場合は現行利回りもチェックすべきです。不動産投資検討時にできる限り精緻なシミュレーションをすることが投資成功の確率を高めると言っても過言ではありません。

 

理想の利回りなんて存在しない?
条件によって利回りは変わる

 

そこで気になるのが「実際のところ利回りが何%あれば良い物件だと言えるのか」でしょう。「不動産投資の利回り最低ラインは10%だ」と言う人もいれば「平均で4〜 6%くらいだ」という人もいるでしょう。ただ、こちらも先ほどの表面利回りなのか実質利回りなのかで話が大きく変わってきますし、なにより物件の種類や投資スタンス、条件によっても異なります。大切なのは自身の不動産投資スタイルにその物件と利回りがあっているか否かです。

 

繰り返しになりますが、利回りとは投資した費用と回収した費用の割合のこと。年間家賃収入を物件価格で割るので、分子である家賃収入が大きく、分母となる物件価格が小さければ、利回りは高くなり、逆の場合、利回りは低くなるのが特徴です。一般的に都心部は地方と比べて物件価格が高い傾向ため、利回りは「都心部ほど低く地方の方が高い」という傾向にあります。ただし、入居者募集の面で考えると圧倒的に都心部の方が有利なのは明白です。いくら利回りが高くても地方で入居者を募るのが困難な物件では投資価値は低いと考えられます。

 

たとえば、表面利回りが10%の場合でも入居率が50%であれば、総家賃収入が50%となり最終的な利益も半減します。その逆で利回りが6%の場合でも入居率が100%なら、利回り10%の不動産よりも収益を確保できる可能性があります。つまり、極端に言ってしまえば、利回りが50%(そんな物件はまず存在しませんが)と高くてもほぼ空室の場合は家賃収入は限りなくゼロだということです。このことからも、利回りが高い物件が優良物件だとは一概に言えないことがわかるでしょう。

 

条件によって変わる利回り
その原理原則について知る

利回りに平均はなく、そもそも条件によって変動するとお伝えしましたが、おおまかにいって3つの条件で利回りは変化します。条件の変化が利回りや収益性に与える影響を理解することは、不動産投資を行う上で押さえておくべきポイントです。

 

①エリアによる違い
利回り計算の方法を理解すれば明白ですが、利回りが高くなる要因は物件価格が安いか家賃が高いかのどちらか、もしくはその両方によります。基本的に都心部よりも地方の方が物件を安価に取得することが可能なため、利回りも高くなりがちです。不動産投資における利回り最低ラインの判断も、都心なら地方よりも低めに、地方なら都心よりも高めになりやすいと言えます。もちろん、利回りが高いからといって地方物件の方が収益性が高いというわけではなく、その裏側には空室や家賃下落リスク、売却の難しさなど隠れたリスクが存在します。地方の不動産に投資をする際は、エリア選定や将来的な不動産の需要変動を見定めることもポイントとなります。

 

②築年数による違い
新築物件と中古物件を比較した際は、通常中古物件の方が高い利回りとなります。こちらも、投資用物件の取得費用自体が中古物件の方が安くなることに起因します。利回り最低ラインを判断する際は、新築物件の利回り最低ラインは低めに、中古物件は高めになりやすいと言えるでしょう。とはいえ、中古物件は管理費用や修繕積立金が高額になる傾向があるため、実質利回り(ネット利回り・NOI利回り)との差が大きくなる可能性がある点に留意すべきです。

 

③建物構造による違い
これは意識されていない方も多いかもしれませんが、実は物件の構造によっても利回りが変わってきます。基本的には木造>鉄骨>RC(鉄筋コンクリート)の順に利回りが高くなる傾向にあります。こちらも理由は①②と同じで、一概には言えませんが建築にかかる費用が木造が最も安くRCが最も高いため、それが不動産の取得金額に反映されるためです。ただし、木造は表面利回りが高い一方で、耐火性や耐震性で他の構造に劣り劣化も早い傾向にあるため、それぞれの特徴をしっかりと把握することが大切だと言えるでしょう。

 

 

自分の不動産投資方針に合わせて
適切な利回りを見極めるべき

ここまで利回りについて解説してきましたが、一言に利回りといっても多様な表現があり、かつ不動産投資において利回りが全てではないことがご理解いただけたのではないでしょうか。不動産投資において大切なのは利回りではなく、ご自身の不動産投資に対する投資方針です。つまり、中長期にわたって安定して収入を獲得するインカムゲイン狙いなのか、それとも短期売却による売却益を得るキャピタルゲイン狙いなのか。

 

例えば東京都内一等地では、利回りが低くても需要があり売却益が見込めるため、キャピタルゲインを念頭に表面利回りが5%前後あれば最低ラインと考えられるかもしれません。一方で、中長期的なインカムゲインで考えるならば、賃貸需要が高いエリアにあって高い家賃収入が見込める物件をできるだけ購入価格を抑えて取得することがポイントになります。つまり、エリアや物件の調査がなにより大切になってきます。条件の良い物件は販売価格も高く利回りは低くなります。新築であれば利回りはかなり低くなるため、インカムゲインを求めるなら条件のよい中古物件を選択するケースが多くなります。その場合、築20年程度なら表面利回り5%台、築20年以上で価格が低ければ表面利回り7%台がひとつの目安です。

 

ただし、ここまで説明してきた通り、利回りだけに目を向けるのは不動産投資失敗のよくある原因です。表面利回りはあくまで想定の利回りです。空室が多かったり多額の修繕が発生すると実質利回りとの乖離が大きく当初計画通りにいきません。不動産投資は購入してから資金回収するまで長い時間を必要とします。その間、長期に渡って入居者に選ばれてこそ、有効な資産形成の手段として有効になります。綿密な計画と調査が何より大切なのは言うまでもありません。

 

 

利回りが低くても資産形成可能
今村不動産にお任せください

今回は不動産投資における利回りやその最低ラインについて解説してきましたが、いかがでしたでしょか。不動産投資において、利回りをひとつの目安として物件選びをする視点は大切です。しかし、利回りの算出根拠を確認することはもちろんのこと、さまざまな要素を確認したうえで物件選びをすることが重要であるのは言うまでもありません。

 

私たち今村不動産は、中長期的に安定した利回を確保できる事業用の不動産開発を得意とし、自のネットワークとエリア調査によって厳選した物件を取り扱っています。また、お客様の目的に合わせた不動産投資の計画サポートから金融機関の斡旋など幅広くサポートが可能です。

 

事業用不動産は初期投資が高額になりがちですが、中長期的に安定した投資先として資産家や企業の投資として人気です。ご興味のある方はぜひお気軽にご相談ください。

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