不動産の2025年問題 不動産投資にはどう影響する?

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不動産の2025年問題 不動産投資にはどう影響する?

不動産投資家のなかで最近注目を集めているのが、人口構造の変化によって賃貸需要が低下するとされている「2025年問題」です。直近でも、東京オリンピック開催を機に不動産市場がピークアウトしていく「2020年問題」や、農地が大量に市場に流入する「生産緑地法」により不動産市場に価格の暴落が起きる「2022年問題」など年代がらみの市場動向には何かと注目が集まってきました。

 

そして、次に来るのが不動産需要の低下が懸念される2025年問題です。市場動向に伴うリスクがつきものな不動産投資だからこそ、2025年に起こる動きを理解しておきたいところ。需要低下が見込まれるとはいえ、不動産物件を購入するタイミングを理解しておけば、マイナスリスクを生み出さずに投資活動を継続できるはずです。

 

今回はそんな不動産投資における2025年問題について考えてみます。

2025年に不動産価値が暴落する?
不動産の2025年問題とは

 

ご存じの通り、すでに日本の人口は減少に転じています。2025年には「団塊の世代」といわれる1947~49年に生まれた約806万人が後期高齢者(75歳以上)になり、75歳以上の人口が全人口の約18%、2040年には65歳以上の人口が全人口の約35%となると推計されています。その結果、リタイアした人が新たに引っ越しをしたり、マイホームを購入したりといった行動を起こす割合が低くなるため、賃貸・分譲ともに不動産需要が低下することが懸念されています。

 

厚生労働省我が国の人口について

 

その結果、問題になると指摘されているのが「高齢化による空き家・相続の増加」です。高齢化や人口減少に伴い、空き家(一般的には誰も住んでいない家)は直近30年間で2倍以上に増加しています。空き家が増加すると、不動産の市場での供給が過多となる傾向が予測されます。少子高齢化により需要が減る一方で供給が増えると需給のバランスが崩れ、最終的には不動産価格が下落してしまう恐れがあるのです。

 

 

 

政府広報オンライン「年々増え続ける空き家!空き家にしないためのポイントは?

 

また高齢化が進み人口が減少することで相続の件数が増えます。既に相続登記をしないことによって所有者不明の不動産が増加する問題が起きていますが、来年2024年4月からは相続登記の義務化がいよいよスタートします。一般的に相続する不動産は築年数が古いものや、郊外にあるなどの理由で売却する事例が多いものですが、相続不動産の売却によって市場には不動産の供給量が増えることになります。一方で前述の通り少子高齢化により不動産の需要が減少した結果、不動産価格の下落につながることが予測されています。特に人口減少が著しく進んでいる地方においては、避けられない問題となります。

 

加えて、特に少子高齢化・人口減少が進む地方では既に公共施設の縮小が始まっています。2014年に「都市再生特別措置法」が施行され、地方自治体が策定する「立地適正化計画」の推進も不動産価格に大きな影響を与えると言われています。

 

立地適正化計画は居住機能や医療・福祉・商業、公共交通等のさまざまな都市機能の誘導により、都市全域を見渡したマスタープランです。なかでも「居住誘導区域」は自治体が推奨する居住エリアとされていて、立地適正化計画制度が進むと居住誘導区域の不動産の価値が上がり、対象外の地域では価値が下がることが予測されています。

 

 

 

国土交通省都市局都市計画課 「立地適正化計画作成の手引き」

 

以上のように2025年には日本の人口変動やそれに合わせた各種制度の変更によって不動産の受給バランスが大きく変化する可能性が高いと言えます。もちろん、2025年になった途端に急激に不動産価格や地価の下落が起きるわけではなく、2025年を始まりに受給バランスの変化が徐々に進行していくと考えられます。不動産投資においてはこの変化を注視しながら投資を行なっていくことが重要になってくるでしょう。

 

 

さらに深刻とされているのが
不動産の2035年問題

 

2025年問題の10年後の2035年、団塊世代はさらに10歳年齢を重ね75歳以上になります。亡くなる方も増えるため人口のボリュームゾーンではなくなります。さらに、団塊世代の次に人口の多い「1971年~1974年生まれ」の団塊ジュニア世代である人たちが人口のボリュームゾーンになりますが、2035年には団塊ジュニア世代の人たちも老後を迎え始めます。以降の世代は少子高齢化の影響が顕著になり、加速度的に人口が少なくなります。このように2025年で一度需要の冷え込みが起き、さらに10年後には最後のボリュームゾーンが続々とリタイアしていくため、不動産需要はさらに少なくなってしまう懸念があります。

 

 

2025年問題など人口減少を
見越した不動産投資のあり方

 

このように、不動産の2025年問題や2035年問題を控え、地方を中心に不動産の価格が下がっていくと予想できます。この懸念通り不動産需要が推移すれば、不動産投資の将来性そのものに明るい展望が見出しにくく感じられるかもしれません。しかしもしこの通りであるならば、それを踏まえた不動産投資戦略も考えられます。

 

①投資先エリアの再選定

近年は新型コロナウイルスに伴うリモートワークの加速や地方都市の価値の見直しなどもあり、地方への不動産投資が活発になっていますが、2025年問題など人口減少を鑑みた場合は地方の不動産価値は下がる可能性を秘めています。なぜなら、人口減少により地方から都心に人が移住し、公共サービスが減ることに伴い周辺の不動産需要が下がるからです。

 

ただし、裏を返せば都市部に人口が集中するため、都市部の不動産価格は高まっていくものだと予想できるでしょう。また、1992年に制定された「生産緑地法」が2022年に無くなり、都市部の土地売買が加速することが予想されます。大都市圏の都心部を中心に投資候補地を厳選するなど、投資先エリアの選別こそ、これからの不動産投資に欠かせない戦略だと言えます。

 

②新築・浅築物件を中心に立地条件から投資先を選ぶ

新たに建築される物件を中心に、立地条件などを考慮しつつ投資先を選ぶのも手です。不動産市場が冷え込んでいく日本において、需要がない場所には建物が立つことはほぼありません。逆に考えると、新築される物件は需要を見込んで建築されているとも言えます。今後の日本では、国が行う都市計画に基づき需要を分析したうえで不動産が建てられていくため「東京と大阪の新築物件に投資する」といったように、条件を決めて投資活動を行うこともひとつの戦略です。

 

③インバウンド需要を意識する

日本人が減少していく一方で、日本に定住する外国人や訪日外国人は増え続けているため、インバウンドを含めた外国人向けの層も大きなマーケットになります。すでに大規模な企業や工場がある「企業城下町」では、外国人労働者需要を当て込んだアパートなどの投資価値が高くなっています。また大阪や京都、北海道などではインバウンド需要による不動産市場の活況が見られます。今後の不動産投資においては、日本人のみならずこうしたインバウンドの需要を視野に入れる必要もあるでしょう。

 

 

2025年問題を見極めて
戦略的な不動産投資を行うべき

 

世界的な危機となったリーマンショックや新型コロナウイルス、または日本独自の事情による問題によっても不動産は影響を受け、そのたびに価値は変化してきました。不動産の動きを考えるうえで重要なのは、常に情報アンテナを張り続けることです。新聞、書籍、テレビやネット、セミナーなど幅広い情報源から隔たりなく情報を集め、不動産の需要を読み解くことが今後の不動産投資戦略を考える第一歩です。国土交通省等が進めている施策のなかで、不動産に関する情報を収集するのも有益となるでしょう。

 

人口と不動産は切っても切れない存在です。不動産投資を検討している人はぜひ社会状況や人口動態、国の政策など多面的に分析をして、より良い不動産投資を行なえるようにもう1度自分なりに考えてみてはいかがでしょうか。

 

今村不動産では常に最新の業界動向や不動産ニーズに関して市場調査を行い、社内で共有を行なっています。将来に向けて不動産投資を再考したい、投資先物件を見直したい方はぜひお気軽に相談だけでも結構ですのでお問い合わせください。

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