大阪万博は不動産投資に追い風? 大阪万博の不動産市場への影響

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大阪万博は不動産投資に追い風? 大阪万博の不動産市場への影響

不動産の価値は都市の開発が進んでいたり人口が集まる場所が高くなる傾向にあり、これまでは東京が突出して高い場所でしたが、大阪、関西も物件価格が徐々に上昇しはじめています。というのも、2025年に開催される大阪・関西万博、2029年に開業を目指す統合型リゾート(IR)、さらに国際金融都市構想などを背景に国際的にも注目が集まっているからです。

 

1970年に大阪で開催された大阪万博や2005年に愛知県で開催された愛・地球博では、開催施設や宿泊施設の建設が相次ぎ、多くの来場者による大きな経済効果がありました。今回も大阪万博をきっかけとした日本経済全体の盛り上がりが期待でき、不動産市場にも影響を与えると考えられています。重要な都市インフラである鉄道・道路・港湾と共にオフィスなどの不動産の整備が進み、不動産投資エリアとしても注目を集める大阪。

 

今回の記事では2025年大阪万博の開催による経済効果予想と共に、大阪万博が不動産市場に与える影響について考えていきます。

そもそも大阪万博とは?

 

そもそも万博とはいったいどんな催しなのか。「国際博覧会条約」によれば、「二以上の国が参加した、公衆の教育を主たる目的とする催しであって、文明の必要とするものに応ずるために人類が利用することのできる手段又は人類の活動の一若しくは二以上の部門において達成された進歩若しくはそれらの部門における将来の展望を示すものをいう」と解説されています。

 

参考:https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/hakurankai/banpaku.html

 

要約すると、複数の国が参加して最先端の技術・芸術を、世界に向かって発信する博覧会のことを指します。大阪万博は、2018年11月23日(金)に、パリで開催された博覧会国際事務局(BIE)総会において、投票により大阪開催が決定しました。BIE加盟の170ヵ国の中の投票資格のある国が無記名投票を行い、初回の投票で日本は最多得票を集め、続く決選投票で勝利を得ました。2025年の大阪万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。ユニークなロゴも話題になっていますね。

 

 

過去の万博から紐解く
大阪万博による経済効果は

 

国際博覧会大阪誘致構想検討会が2015年4月に発表した国際博覧会大阪開催検討データ収集調査より中間報告の資料によると、大阪万博開催前から開催後の総需要は2兆1,800億円、経済波及効果は2兆8,859億円と試算されています。この経済効果は東京オリンピック・パラリンピックの開催期間中の約6,000億円の経済効果と比較しても大きく上回る数字です。

 

これは東京オリンピック・パラリンピックの来場者数が1,000万人だったのに対し、大阪万博では約2,800万人もの来場者を見込んでいるため、これほどの数字が試算されているのです。2022年にドバイで行われた国際博覧会の来場者も新型コロナウイルスの影響でインバウンドは3割ほどに落ち着いたようですが、目標近くにあたる2,300万人が来場しました。

 

別のデータも見てみましょう。2005年日本国際博覧会協会によると、愛知県で行われた万博の経済効果は広域幹線道路や空港等関連交通基盤まで含めると約3兆5,000億円にも上る大きな経済効果があり、その後の株価の上昇にも繋がるなどのプラスの影響が多く見られました。

 

愛・地球博の経済効果に関する評価報告書

 

愛・地球博の開催によって東海地方を中心に景気が伸びており、全国の景気を牽引している様子が資料からも見て取れます。この後の景気も、2009年のリーマンショックによって一時的に落ち込むまで上昇傾向が続きました。愛知を中心とした東海地方の宿泊施設の稼働率や百貨店の売上が上昇し、更に、鉱工業生産指数や有効求人倍率も、愛・地球博が終了した以降も上昇したことで、万博をきっかけにその後も景気が向上したと言えるでしょう。

 

大阪万博を皮切りに
IR誘致など開発が目白押し

 

大阪在住の人には馴染みが深いかもしれませんが、大阪万博会場となる夢洲は高度経済成長の際に整備されたエリアで、隣接する咲洲(南港)などとともに、バブル崩壊の煽りを受け遊休地化・不採算化し「負の遺産」となっていました。今回の万博決定を機に夢洲を含めた大阪湾エリアが大阪の新しい価値となりえる大きなチャンスでもあるため、大規模な整備、開発、経済効果が見込まれています。実際、既に完了しているものや現在進行中の開発をはじめ、様々な都市開発・交通インフラ整備が予定されています。下記にざっと列記してみました。

 

●新今宮駅前に星野リゾートのOMO7が大規模ホテルをオープン
●JR大阪駅の北側の梅田貨物駅跡地の再開発「うめきた2期」が進行中。
●2031年春の開業を目指し、梅田と関西国際空港をつなぐ「なにわ筋線」計画が始動。
●大阪メトロ中央線は2024年夢洲延伸完了目指し計画が進行中(2024年の夢洲駅完了予定)
●総工費1000億円超の夢洲駅タワービル開発(275m級55階建て)を予定。
●世界最大級の水族館「海遊館」も夢洲への移転を検討中。
●新大阪から北陸まで接続可能になる北陸新幹線延伸計画で(2046年開業予定)
●東京・大阪間が67分で繋がる。リニア中央新幹線(早ければ2037年にも開業)

 

このように非常に多くの再開発・交通インフラ整備が予定されています。これだけの都市開発が進むことで、大阪の資産性にも将来的に変化が見えてくると考えられます。

 

それを見込んで国内のみならず海外からも投資マネーが流入しています。象徴的なのが外資系の高級ホテルも次々と大阪に開業を決めていること。2023年1月には、大阪の老舗ホテル「リーガロイヤルホテル大阪」の土地と建物の信託受益権などがカナダ系のベントール・グリーンオーク・グループ(BGO)に売却されました。新しいホテルとして大規模なリノベーションを行い、高級ホテルとして2025年3月以降のリニューアルオープンを目指しています。他にも、タワーマンションと合体した「フォーシーズンズホテルズ&リゾーツ」、アメリカのヒルトン系列の最上級ホテル「ウォルドーフ・アストリア大阪」、アメリカのマリオット系列の「オートグラフ コレクションホテル」、シンガポールのカペラホテルグループ「パティーナ大阪」など、多くの外資系高級ホテルの開業が相次いでおり、日本初進出となるホテルも少なくありません。

 

高級ホテルの開業は大阪だけに留まらず、訪日外国人からの人気が高い京都でも競争が激化しています。このように外資系高級ホテルの進出が相次いでいることから、大阪万博をきっかけとした経済効果が続くと世界的に期待されていることが分かります。

 

また、カジノ法案(統合型リゾート(IR)整備推進法案)の成立に伴い、IR誘致を発表している自治体は数多くりますが、IRの第1号施設として大阪が最有力候補になっています。今年4月に大阪のIR計画が他県に先駆けて国に承認されたのは記憶に新しいところ。全国初のIRが現実味を帯びてきています。そして、その開業場所は大阪万博開催予定地でもある「夢洲」。大阪での開業が実現した場合、年間来場者数は延べ2480万人で、開業までに累積1兆4,711億円の経済効果、開業後の経済波及効果は年7600億円と試算されています。また、構想案によるとカジノ施設のほか日本最大級の国際会議場や娯楽・商業施設を整備する予定となり、世界でも有数のエンターテインメントの拠点になっていくことが予想されます。

 

さらに上記一覧にもあるように、2027年に品川から名古屋区間のリニア開業が予定されていますが、最短で2037年には大阪まで延伸されることになっています。これによって東京と大阪が約1時間で結ばれることに伴い「スーパー・メガリージョン構想」が検討されています。東京・名古屋・大阪は距離的にも時間的にも離れており、現在は「三大都市」などと言われるように別の経済圏として考えられています。しかし、リニアの開通によって約1時間での移動が可能になれば、距離も埋まって同じ経済圏として捉えることができるようになるというのが「スーパー・メガリージョン構想」です。そうなると、企業は必ずしも東京に本社や支社を置く必要がなくなります。昨今ではテレワークなどの勤務形態も浸透してきているので、従業員も在宅勤務や、必要なときだけ大阪から東京へ出勤するというスタイルが一般的になるかもしれません。

 

 

大阪万博による
不動産市場への影響は

 

これまで大阪の不動産投資人気エリアといえば、大阪梅田駅周辺のうめきたエリア、大阪心斎橋あたりが突出していました。西側の土地はそれほど注目されていませんでしたが、今回の万博やIR誘致、リニアの開通でインフラも整い、たくさんの商業施設もできるので人口が集まりやすくなることから、土地の上がり幅も大きくなると予想されています。実際、東京の土地価格が比較的落ち着いてきているのに対し、大阪・関西の土地価格は少しずつ上昇傾向になっています。

 

①広範囲での地価の上昇

「負の遺産」だった夢洲に大阪万博の大規模な施設の建設ラッシュがスタート。それに伴い周辺には高級ホテルの開業が相次いでおり、広範囲の土地が活発に取り引きされています。さらに、当該エリアだけではく大阪ではこれまで注目されていなかった地域の再開発も行われています。以前は簡易宿泊所ばかりで地価が安く、高級ホテルのイメージとは遠かった大阪の新今宮駅周辺では2022年4月に「OMO7大阪by星野リゾート」が開業しました。周辺相場と比較した宿泊料金は高額なものの満室が続き大成功を納めています。このように、大阪万博開催地のみならず、これまで注目されてこなかったエリアでも再開発が進み、大阪全体で地価の上昇が見込まれます。

 

②民泊などの需要増加

前述の通り大阪では多くの高級ホテルの開業が相次いでいますが、万博の来場者全てが高級ホテルに宿泊する訳ではありません。人の流れが増えることで民泊などの需要もさらに増加するでしょう。もともと大阪では訪日外国人の観光客が増加しており、インバウンド客向けの商業施設や宿泊施設の高い需要を受けて難波や心斎橋を擁する中央区エリアで開発が進み、地価の上昇が顕著でした。日本は海外主要都市に比べて低価格で物件を購入でき、収益も見込めるので、海外投資家からの注目が高まっていました。新型コロナの影響で少し鈍化しましたが、直近では渡航制限も解除されさらに需要増が見込まれています。

 

③全国の不動産市場への波及効果

大阪の不動産の価値が上がることで、東京の不動産にも相乗効果が期待できます。前述の「スーパー・メガリージョン構想」にもあるうように2040年ごろには全国的なリニア鉄道開通が予定されており、東京・大阪間の移動時間がこれまでの半分以下に短縮されます。日本人だけでなく、訪日外国人による移動が容易になることからも、大阪と東京の不動産市場は相互に影響し合うことが考えられます。

 

 

大阪への不動産投資は
大阪に強い今村不動産へ

 

2025年の大阪万博による経済効果や不動産市場に与える影響について考えてきましたが、いかがでしたか?大阪万博をきっかけとした経済効果は全国に波及することが期待され、不動産市場にも良い影響を与える可能性があります。ただし、世界的なインフレなどによる様々なリスクも無視できません。

 

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