不動産投資に田舎は有効?地方の郊外型店舗が狙い目な理由

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不動産投資に田舎は有効?地方の郊外型店舗が狙い目な理由

不動産投資はよく「立地がすべて」と言われます。たとえ物件自体の価格が割高だとしても、賃貸需要や入居率が高く収入が途切れにくい都心部や人気エリアの駅近辺の物件を選ぶことがポイントだとされてきました。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響でテレワークが推進されるなど、人々の視線は郊外にも向けられるようになってきています。

 

では、今後は郊外や田舎の不動産投資を考えるべきなのでしょうか。土地や物件価格が安く高い利回りが見込めるのが郊外型の不動産投資のメリット。ただし、田舎や郊外の不動産投資は都心部よりも注意すべき要素が多く、不動産投資初心者にとっては難易度が高いジャンルであると言えます。そこで今回は、田舎や郊外の不動産投資のメリットデメリットをご紹介しながら、田舎の不動産投資や土地活用において抑えておくべきポイントを解説していきます。

都市部 VS 郊外
不動産投資徹底比較

都市部と郊外を不動産投資の観点から比較すると、当たり前のことではありますがそれぞれのメリット・デメリットが逆転します。これは文章よりも図で見ていただくとわかりやすいかもしれません。

 

 

田舎や郊外の不動産投資は
ハイリスクハイリターン

田舎や郊外の不動産投資の最大の特徴は購入価格が安いことです。都心部と同価格でより広い土地やグレードの高い建物の開発が可能なため、需要さえあれば利回りも高くなりキャッシュフローにも余裕が出てきます。現金で投資する場合においても都心に比べてトライしやすいでしょう。ただし投資の成否をわけるのは需要の有無。一般的に空室リスクは都心部や駅近郊に比べて高くなるので、当初想定していた利回り分を回収できない可能性もあります。また、専有面積が広い物件が多いので、土地だけではなく建物も含めた不動産投資を行う場合には、リフォーム等の修繕コストがかかってしまうという側面もあります。さらに、地方の中古物件は土地が安いため銀行の評価も低く、返済期間も短く金利も高くなる傾向にあります。

 

つまり、自己資金で不動産投資を行えるなら郊外を選択するメリットは大いにあると言えますが、将来の人口推移や、売却を検討する際の不動産の資産価値に目を向け、着実な投資を考えるなら都心部の方がおすすめだと言えるでしょう。不動産投資経験が豊富だったり、資金力がある、市場動向や物件のリサーチに興味があって時間を注げるもしくは頼れる不動産パートナーがいる、そんな方こそリターンの大きい郊外の不動産への投資を検討してみるのも一手です。

 

もちろん冒頭でお伝えした通り、新型コロナウイルウスの収束が見えない現状においては空室率に変化も見られ、2020年に入ってからは空室率TVIが東京23区と東京市部で数値が逆転するといった現象も起きているため、郊外に対する人々の注目度が数値にも現れていています。今後も企業はテレワークを続けるのか。今のような生活スタイルは一過性のものなのか。物件のみならず社会情勢や市場動向を常にリサーチすることが、田舎や郊外の不動産投資を検討するうえでの重要なファクターになるでしょう。

 

 

田舎すぎてもNG!
郊外型の不動産投資見極めポイント

いくら田舎や郊外が見直されているからといって、人が少なすぎて需要が見込めないほどの地域はそもそも投資対象とは言えません。では、どのようなエリアが郊外の不動産投資に向いているのか。エリア選定の基準と合わせて、土地の特性や条件に応じた土地活用の方法を探っていきます。

 

・基本は都市部へアクセスできる近郊エリア

田舎や郊外という言葉を聞くと、人によってイメージする土地は違うでしょう。「都心」や「郊外」といった単語に明確な定義はなく、具体的なエリアを指しているわけではありません。例えば東京で考えた場合、都心を「東京23区」と考える人もいれば「千代田区・港区・中央区・新宿区・渋谷区の都心5区」をイメージする人もいます。郊外も同様に「23区外」を想像する人もいれば、山手線の外はすべて郊外と言う人もいるでしょう。関西圏、例えば大阪でも同様です。大阪市の北区や中央区は都心でしょうが、東成区や鶴見区はどうでしょう?こう考えると「どこからが郊外・田舎なのか」が曖昧ですよね。

 

私たちのこれまでの経験を踏まえると、不動産投資において投資対象たり得る田舎や郊外の定義は「都心部へ簡単にアクセスできる範囲」です。具体的には「都心部からの距離が25キロ程度で、急行などの電車を使うと30分で都心駅に行ける距離」となります。街まで車で片道1時間以上かかるようなエリアは、いくら地価や物件価格が低いからといっても需要も多くないでしょう。

 

・土地の特性を見極めることが重要

そんな郊外の土地の有効活用には、その場所の長所を生かしながら立地条件にあった活用方法を検討すべきです。では、どのような土地活用方法があるのでしょうか。一般的なアパートやマンション経営以外にも、郊外ならではの土地活用の方法があります。どの事業に着手するにしても、基本となるのはその土地の特性と条件を満たした開発を行うこと。田舎や郊外型の土地の条件として代表的なパターンを見ていきましょう。

 

駅から遠い土地

郊外の駅から比較的遠い土地であっても、その地域のニーズに合致していれば投資を検討できます。貸店舗、ショッピングセンター、スポーツ施設、レストランなどが該当します。キーワードは駐車場。郊外型だからこそ車での利用を見越した開発が大切です。

 

 

地形の悪い変形した土地

いわゆる変形土地も用途を考えることで投資対象に。土地が広ければゴルフ練習場をはじめとした屋外スポーツ施設に、幹線道路に面しているなら貸倉庫やトランクルーム、あるいは駐車場なども可能です。

 

 

郊外の住宅地

代表格は賃貸住宅、また郊外型のレストランなども検討できます。駐車スペースが確保できれば2~3LDK程度のファミリー向け住宅の需要が十分期待できます。1戸に2台の駐車スペースを確保できるなど土地の広さがあればそれ自体をセールスポイントにもできるでしょう。

 

 

郊外のロードサイド

近年のロードサイド物件は多様な店舗が進出しており不動産投資のなかでも注目を集めているジャンルのひとつ。定期借地権を利用する店舗オーナーも増えているため、土地の有効活用の範囲が広がって活発な投資が行われています。

 

地方の不動産投資を
成功に導くための5ヶ条

 

 

その1.エリアの特性や情報を仕入れる

田舎や郊外で不動産投資を検討するなら、なにより地域の将来の都市計画を十分に確認する必要があります。特にライフラインなどの整備は要チェックでしょう。一般論になりますが、近隣に大規模な商業施設がある、大企業の工場がある、教育機関や病院が多い地域など、これから街の新規開発や再開発が予定されている地域は賃貸需要が高くなります。また、対象エリアの人口動向について現況や将来の動きを確認しておく必要があります。田舎や郊外であったとしても、人口が集中している、世帯数が上昇傾向にある地域は存在します。逆に、人口流出が進んでいる地域では賃貸ニーズ自体が低く空室リスクが高まります。人口動向については総務省の統計や対象エリアの市区町村のWebサイトでも確認することが可能です。また、情報収集力に長けた不動産会社に相談してみるのもおすすめです。

 

その2.かならず現地調査を行う

自分の居住地から離れたエリアで不動産投資を行う場合であっても、かならず現地に行って物件や周辺環境の調査を行うことをおすすめします。投資予定の不動産の状態や周辺の環境、近隣の競合物件の入居率や地代や賃料相場を確認することで、実際に物件購入後に入居付けできるかどうかの判断になります。また、頼りになるのが地域に根付いた不動産会社。たとえ大手企業でなくても、投資を検討する地域で営業を行う不動産会社だからこそ、その土地のエリア特性や賃貸需要、将来の都市開発の可能性などの情報を収集できる可能性があります。郊外型の不動産投資は情報戦です。土地勘のない場所なら特に現地の声を聞くことが、投資の判断材料になるはずです。

 

その3.高利回りの物件を選ぶ

田舎や郊外の不動産は物件や土地の価格が安いため想定利回りが高くなるメリットがあるとお伝えしました。しかし、空室リスクも高いため実質利回りを高くする難易度も必然的に高くなります。特に住居の場合、若者人口が減少傾向にある地方でマンションやアパートを満室にするのは至難の技。想定利回りが高いからと言って、実際の利益に直結するかは別問題です。繰り返しになりますが、郊外の不動産投資は情報戦です。売主が不動産物件の現金化を急いでいる場合などは地域の相場よりも安い価格で物件を売り出すこともあるため、売却情報を常にチェックしておきたいところ。個人で行うには骨の折れる作業ですが、親身で頼れる不動産会社をパートナーとして選び、条件面などを伝えておくことで、希望の投資に見合った情報を入手できる可能性は高くなります。

 

その4.管理方法を考えておく

居住地から離れた田舎や郊外で不動産投資を行う場合、特に住居用の不動産においてはその管理はどうしても管理会社任せになります。物件の状況をオーナー自らが確認することが困難だからこそ、その地域で実績がある評判の高い管理会社を選定したいところです。管理会社と信頼関係を築くことができれば、いざという時に心強いパートナーになってくれるでしょう。また、ネックとなる建物の管理リスクを抑えるには、居住用物件ではなく店舗や事業用物件に目を向ける方がいいかもしれません。他にも、建物ではなく土地のみを購入する不動産投資方法である「底地投資」という選択肢もあります。底地投資については以下の記事も参照してみてください。

 

>底地投資とは?その魅力と投資における3つのチェックポイント

 

その5.出口戦略を考えておく

田舎や郊外は都心部に比べて力を入れている投資家が少ない、つまり競合が少ないことがメリットです。裏を返すと競合が少ないということは投資用物件の買い手も少ないということ。つまり、将来的に売却するという出口戦略が取りづらいといったリスクもはらんでいるのです。土地はもちろん物件は築年数が経つにつれて金融機関の融資姿勢はより厳しくなりますし、その融資のおりやすさも景気に左右されるので、購入時はよかったものの売却に苦労して結果的に損をしてしまう可能性もあります。だからこそ、不動産投資として物件を購入する段階で、あらかじめ出口戦略を考えた不動産を選ぶことも重要です。近隣で再開発が行われる予定があるエリアなど、将来的に地価が上がって売却益を期待できるような地域を選定する目も必要です。

 

 

田舎や郊外の不動産投資なら
住居よりも事業用や店舗が有力

田舎や郊外で不動産投資を行う場合、よっぽど都市の再開発が見込まれ人口増加が予想される場合を除いては、住居よりも事業用や店舗の開発を検討された方が良いかもしれません。店舗や事務所用不動産の投資はリスクが高い傾向にありますが、利回りも高いため投資家からは注目を集めています。

 

 

賃貸経営においては経費をいかに抑えて収益性を保つかが重要ですが、店舗や事務所への投資はその点においても有利です。店舗や事務所の場合は入居時の改装費用や退出時の現状回復などの工事費用は入居者側の負担となるため、オーナー側の負担は居住用のマンションやアパートの経営に比べて少ないと言えます。また、地域特性や競合などを調査したうえで効果的な店舗開発を行うことができれば、より高い利回りを実現することも可能です。

 

弊社の事例ですと、大阪の東大阪市という郊外に不動産投資を検討されている投資家の方に、家族葬会館の開発をご提案したケースがあります。当初はコンビニの出店を希望されていましたが、地域調査を行った結果、競合店舗が多数あることがわかりました。さらに、近年地方のコンビニエンスストアは人口減少によって早期に撤退するケースも増えてきており、当該地域もその恐れがあると判断しました。さらなる調査の結果、高齢化が進んでいる地域でありながら近年注目されている小規模な葬儀場、家族葬会館はまだまだ出店の余地があるとわかり、相場価格よりも安価で不動産を取得しながら高い利回りの条件でテナント付けにも成功しました。

 

このように、取得後の管理の手間などを考慮すると、オーナーの居住地から遠方の地域に投資を行うケースが多い田舎・郊外型の不動産投資の場合は居住用物件よりも店舗や事業用物件の開発が望ましいこともあります。いずれにせよ、その地域の特性をきちんと把握している不動産会社とタッグを組みながら戦略的に進めることが肝心だと言えるでしょう。

 

郊外型の不動産投資は
頼れる不動産パートナー探しから

いかがでしたでしょうか。田舎や郊外の不動産投資には、都心部とはまた違った注意すべきポイントが多くあることがご理解いただけたと思います。そのポイントさえ押さえておけば、田舎や郊外であっても不動産投資の対象として検討することは十分可能です。

 

なにより重要なのは不動産自体ではなく地域特性やその場所の将来性をいかに見極めるか。メリットとデメリットをしっかりと確認したうえで、投資対象となる地域の情報に強い頼れる不動産会社を探すことが、田舎や郊外の不動産投資成功に向けた第一歩です。

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