不動産投資で土地から購入してテナント物件を運営するポイント

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不動産投資で土地から購入してテナント物件を運営するポイント

不動産投資と聞くと、一般的にはすでにある物件を購入するパターンを想像されるかもしれません。しかし、すでに市場に流通している物件に様々な条件で満足いかない場合、自身で土地を探し、購入した上で新築物件を建てることも可能です。とはいえ、そのケースの不動産投資は手続き面などハードルが高いのも事実。一般的な不動産会社に頼んで大丈夫なのか?契約の流れはどうなるのか?融資は可能か?など疑問がつきまといます。

 

今回は土地から購入して収益不動産を建てる場合の進め方、その際に注意すべきポイントなどを解説していきます。

最大のポイントは
どんな不動産に投資するか

実際に土地から購入して収益不動産として物件を開発する流れを整理してみます。よく紹介されるのが以下の項目です。

 

POINT.1 投資対象にするエリアを選定する
POINT.2 土地や建物に関する制限を確認する
POINT.3 綿密な資金計画を立てる
POINT.4 建物の建築を依頼する工務店などを選定する
POINT.5 金融機関など融資先との調整を行う

 

これらはもちろん重要ですが、実はこれだけでは最も重要なポイントが抜け落ちてしまっています。実際、私どもにご相談に来られるお客様のなかでも、この重要な視点を持たずに土地購入から不動産投資を行おうと考えている方もおられます。そんな時に必ずおうかがいすることがあります。

 

「どんな不動産に投資したいのですか?」

 

つまり、投資する不動産の種類を明確にすることです。市場に出回っていない投資用物件をゼロから開発するからこそ、どんな目的のもとに、どんな物件を開発するかが他のなにより重要になるのです。

 

投資用不動産の選び方は目的によってまったく違います。例えば、資産形成や老後への備えを目的として不動産投資を行うなら、長期的な収益を見込める事業用物件、店舗物件を選択するのも一手です。一方で、相続税や固定資産税の対策を主目的に行うなら居住用物件の方が良いでしょう。さらに、事業用・居住用といってもその内容、具体的にはどんなテナント物件にするのか、どんな居住物件にするのかで最適なエリアは違ってきます。

 

仮に私たちが得意とする事業用物件の分野で考えても、オフィスビル、テナントビル、商業施設、ホテル、工場や倉庫など多岐に渡ります。さらに細かく商業店舗のテナントを分類しても飲食店をはじめエステや理美容サロン、歯医者などのクリニック、特定商品を販売する商店、他にもコンビニ、ジム、葬儀会館など枚挙にいとまがありません。土地から購入して不動産投資を行う場合、どうしてもエリア先行型になりがちですが「目的に合わせてどんな不動産に投資するか」が決まってこそ、最適なエリアを検討することが可能になるのです。

 

以上を踏まえたうえで、今回は当メディアサイトの特徴である「不動産投資の店舗開発」に焦点を当てながら、土地から購入してテナント物件を運営するためのポイントをひとつずつ見ていきたいと思います。

 

テナント物件開発で検討すべき
4つのエリアとその特徴

目的に合わせて投資する不動産を決めたら、次はエリアの検討です。日本の地域は国が都市の健全な発展を目的に「都市計画法」を定め、この法律に基づいて都道府県知事が「都市計画」を立てています。そのなかで「計画的な市街地を形成するために用途に応じて13地域に分けられたエリア」として「用途地域」が定められています。

 

大阪の用途地域について

 

本題から外れてしまうので詳しくは割愛しますが、地域によって建築できる建物の種類の比率や高さ、出店可能な店舗などに制限が設けられており、完全に自由に何でも建設できるわけではありません。賃貸借契約を交わしたものの、制限によって出店ができない」、「突然役所が来て指摘を受けた」といったトラブルが後々起こらないようにするためにも、実際に土地から購入して事業用不動産に投資する際には、用途地域を確認しておくのがよいでしょう。

 

さて、事業用不動産や店舗開発を考えた時に、投資先となる土地のエリアは大きく4つに分類することができます(上記の用途地域とは別の視点で分類しています)。まずは簡単に4つのエリアとそれぞれの特徴を見ていきます。

 

 

商業地域

大都市・中核市・地方等を問わず、商業地はかならずあります。一般的に路線価は周囲より高くなっていることが多く、人口が流動的で常に一定の賃貸需要があるエリアです。駅を中心に人々が決まった導線パターンで行動することが多く、相対的に人の量が多くても通りによっては人流が少ない場所もあるため現地調査は外せません。地方であっても局所的に人口が流入しているエリアもあるため、需要の先細り感は少ないでしょう。テナントビルなど住居用物件以外のテナント物件が多い反面、競合も多いためテナントの種類によっては退去が頻繁に出ることもあり、テナント付け費用がさかんでしまう可能性もあります。

 

 

住居地域

住居地域の建物は住居物件が中心ですが、店舗・オフィス・ホテル・ゴルフ場・カラオケボックスなどの事業用物件の需要もあります。ポイントは、主に平日の施設利用者が主婦層やリタイア後の高齢層に絞られるところ。さらにその時間帯も午前中から夕方頃が中心となるため、誘致するテナントとミスマッチがないかを見分ける必要があります。

 

ビジネス地域

都心部の主要駅を中心に広がるのがこのエリア。テナント物件としては平家路面店ではなくビルトインや商業施設などが多くなります。住居地域とは客層・時間ともに逆になる傾向にあり、若年層から働き世代、さらに場所によっては日中よりも夜間の方が活況な場所が多いでしょう。また、商業地域同様に駅を中心に人々が決まった導線パターンで行動することが多く、現地調査をもとに投資を検討する土地への導線を実際に確かめるのが重要だと言えます。

 

その他

主に、ロードサイド物件など幹線道路や人通りの多い道路沿いの土地などで、店舗事業者と共同で店舗や商業施設を開発・出店する形式が考えられます。交通量や人通りの多い道路ほど有利であり、土地の規模に応じてコンビニからショッピングセンターまで様々なロードサイド店舗があります。ロードサイドの事業用物件は都市計画法上の用途制限等の法規制や各行政庁による指導、商圏内の需要等の諸条件を満たすエリアでなければ行うことができないため特に詳細な調査が必要になるでしょう。

 

まずはエリアの事前調査を!
円商圏調査のススメ

不動産投資のエリア調査のひとつに、円商圏調査があります。出店エリアの住宅地図と赤ペンを用意して(もちろんパソコンでも可能です)投資候補地を中心に商圏となる範囲を円で囲ってみます。円の半径=商圏が何km圏内になるかは、前述のエリアはもちろん業種や扱う商品・サービスによって異なりますが、以下の3つが代表的な基準とされています。

 

第1次商圏(最寄品商圏)

ほぼ毎日来店する可能性のある範囲。徒歩10~15分程度
Ex)コンビニ、定食屋、ラーメン店など

 

第2次商圏(中間品商圏)

週1~2回来店する可能性が見込める範囲。自転車10分~15分程
Ex)居酒屋、大型小売店、クリーニング店、ドラッグストアなど

 

第3次商圏(専門品商圏)

1~3か月に数回程度来店する可能性が見込める範囲。自動車で30~40分程
Ex)高価格帯のレストラン、塾・教室、専門性の高い小売店など

 

円商圏を描くことができれば、地図からそこに含まれる町名を洗い出し、自治体のウェブサイトで公開されている町名別人口データを元に、商圏内の人口を求めることが可能です。ただしそれだけで調査完了とはなりません。競合店が多かったり立地条件が悪ければ商圏規模が狭まったり歪みます。逆に、国道沿いや駅前立地など交通アクセスが良い、競合店の少ないなどの場合は商圏範囲が広がります。というように、より実情に近い商圏を正確にはじき出す必要があります。

 

たとえば

 

・j STAT MAP/総務省統計局
・駅別乗降客数データ/国土交通省

 

などをもとに、地域の性別や人口、年齢別人口や世帯数とその伸び率、世帯人員、昼夜間人口比率、世帯年収、職業構成、自動車の所有率、住居タイプ、共働き比率、世帯構成、所得水準、最寄り駅の乗降客数、住宅以外の建造物などより詳しい数値を検証するとともに、マンションやビルの建設予定、インフラの整備予定など地域の姿を予測することも可能です。ここまでくれば、投資を予定している土地およびテナントが地域のニーズとマッチしているか考えることもできるでしょう。

 

と、ここまでご紹介しておきながら、これらを個人だけの力で実施するのは至難の技。だからこそ、店舗開発やテナント物件に長けた信頼できる不動産会社を探すのが、土地から購入して事業用物件・テナント物件を建築するための近道かもしれません。

 

これを見落としてはNG!
現地調査の3つのポイント

 

これはテナント物件に限らずですが、高額な不動産投資だからこそ現地調査は必須です。物件の立地や敷地面積はわざわざ現地に行かなくても簡単に手に入りますが、それだけでは物件に投資するべきかを判断することはできません。

実際の物件や周辺施設、周辺地域の状況、物件に関して事前に提供されている情報との整合性を自分の目で確認する必要があります。その際、ただやみくもに地域を散策してももちろん意味はありません。できれば出店を検討する企業のデューデリジェンスと同じ目線で現地調査を行いたいところ。そこで、いくつか押さえておくべきポイントをご紹介します。

 

 

①車はNG!あえて最寄駅から歩いて行く

現地調査の際、車で物件のまわりを通るのは避けた方が良いでしょう。実際にそのエリアの居住者になったとして、はたして投資を検討している物件は利用しやすいのかどうか。最寄駅から物件まで歩いてみることで、そのエリアの居住者の属性や交通量、街の雰囲気を肌で感じることができます。例えば商業地域であったとしても、路地が一本違うだけで閑散としているなんてことはよくあります。これは資料だけでなく実際に目で見ないと判断ができません。また、駅をチェックする際は投資を検討している物件の反対口の確認もおすすめです。「朝と夜」「平日と休日」のように、駅の出口が異なるだけで雰囲気が全く異なる場合があるからです。仮に、投資を検討している物件が街の雰囲気やニーズとマッチしていなければ、再検討の余地ありだと判断できます。

 

 

②曜日と時間帯を変えて行う

上記でも少し触れましたが、昼と夜でガラリと表情が変わる街もあります。街の雰囲気をチェックする際は、曜日や時間帯を変えて調査をすべきです。特に商業地域やビジネス地域の駅前は平日と休日、夜と朝では雰囲気が異なります。「夜になると駅から物件までの道が暗い」「平日の日中は人通りが多いが夕方以降は閑散としている」などは、時間帯や曜日を変えて現地調査をしないと気づけないことも多いものです。忙しくて時間を作ることが難しい場合もあると思いますが、購入を本格的に検討しているのであれば時間を見つけて数回に分けて調査すべきです。

 

 

③ニーズや競合を調査する

いざテナントが入る建物を建築したとしても、入居する事業者が集まらなければ意味がありません。では投資する物件にきちんとテナントが付くかどうか。簡単にニーズ調査を行う方法は、投資を検討する土地の周辺で同様のテナントが流行っているかどうかです。流行っている=儲かっているということは、そのテナントの需要が高いということなので、同じ業種の競合が入居できるような物件を開発できれば、募集も多くなる可能性が高くなります。ただし、検討しているエリアに同業種が多すぎる場合は競合過多と判断される可能性もあるので注意深く調査する必要があります。

 

 

ハイリスクな店舗開発には
綿密な資金計画が重要

店舗・事務所などテナント物件に対する金融機関の融資審査は居住物件よりも厳しく、担保掛け目も低めに設定される傾向があり、審査に時間もかかります。なぜなら、物件の担保力や投資家オーナーの資金力・実績の他に、入居するテナントの属性まで詳しく調べるケースが多いからです。金融機関にもよりますが、店舗専用、事務所専用の一棟ビルには融資しない金融機関も存在するほどです。

テナント物件は居住物件に比べて収益性が高いといった魅力はあるものの、融資が難しいのでローンを前提とした投資を検討している方にも不向き。ある程度の資産余剰があり不動産投資の経験がある方向けだと言えます。つまり、目先の節税対策などではなく、中長期的な視点で計画を立てて投資を検討すべきなのです。

 

 

店舗開発やテナント物件に長けた
不動産会社を見つけるべき

いかがでしたでしょうか。不動産投資で土地から購入して物件を開発するにはさまざまなハードルがあり、個人ですべて行うには難しいと感じられるかもしれません。もし土地から購入してテナント物件を開発するなら、店舗開発やテナント物件に長けた不動産会社に相談されることをおすすめします。

 

今村不動産ではこれまで他種多様な事業用物件の開発を手掛けてきたノウハウをもとに、お客様のご要望をお聞きしながら土地探し・物件開発・テナント誘致・各種契約関係のサポートまで一貫してお手伝いすることが可能です。また、土地だけを購入して行う底地投資に関してもサポートさせていただきますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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