事業用不動産が建築できない?市街化調整区域と用途地域について詳しく解説

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事業用不動産が建築できない?市街化調整区域と用途地域について詳しく解説

計画的に都市を整備するために、土地にはそれぞれの区域に合わせて規制が設けられています。持ち主が好きなように建物を建てることができると、統一性のない乱雑な都市になってしまう可能性があるからです。そのなかのひとつ「市街化調整区域」は、健全な都市発展を目的に定められた都市計画法において、市街化を実施しないと定められた地域を指します。市街化調整区域には新しく建物が建てられないなどの規制があり、不動産市場では売買が成立しづらい傾向があります。

 

そのため、市街化調整区域は不動産投資に向かないというイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。もちろん、市街化調整区域には様々な規制がありますが、市街化区域には無いメリットもあります。今回は、不動産投資における市街化調整区域について考えてみたいと思います。

不動産投資に不向き?
そもそも市街化調整区域とは

計画的に都市を整備するために、土地にはそれぞれの区域に合わせて規制が設けられています。持ち主が好きなように建物を建てることができると、統一性のない乱雑な都市になってしまう可能性があるからです。

 

都市計画法によって土地は大枠として「都市計画区域」「準都市計画区域」「準都市計画区域外」の3つに分けられています。

 

●都市計画区域……人の動きや地形、都市の発展を見通して一体の都市として捉える必要がある区域

●準都市計画区域……用途地域・風致地区といったように、土地の使われ方を定めた区域

●準都市計画区域外……上記以外の土地の区域

 

 

さらに、都市計画区域は「市街化区域」「市街化調整区域」、さらにどちらにも含まれない「非線引き区域」に分けられます。それぞれ少し詳しく見ていきましょう。

 

<市街化区域>
積極的に住宅や店舗を建てる地域で、おおむね10年以内に市街化を図る地域のこと。第一種住居地域や工業地域などの用途区域を必ず定めることになっている。

 

<市街化調整区域>
田園地帯や自然が多いエリアで、自然環境を保つことを目的に原則として新しく建物を建てることが認められていません。

 

<非線引き区域>
市街化されるかはっきり方向性が定まっておらず、比較的に規制が少ない区域です。

 

簡単に図で表すと以下のようになります。

 

 

 

 

これら3つの区域のうち、市街化調整区域は建物が建てられないという規制が設けられているため、売却に時間がかかる、なかなか売れないという事態が起きやすいといわれています。これが、市街化調整区域が不動産投資に向かないと言われる原因です。

 

しかし、現状では多くの市街化調整区域でも住宅や賃貸物件が建設され、販売されています。その理由としては、都市計画法が制定される以前から住宅や賃貸物件があったエリアでは、一定の要件を満たす建物であれば通常の手続きを行うことで建物の新築や増改築が認められているからです。2001年の都市計画法の改正によって原則として建て替えはできなくなりましたが、地方自治体によって独自の基準を設けて対応しているところが多いのが現状です。

 

市街化調整区域でも建築可能!?
不動産投資を検討できるケースとは

 

市街化調整区域内で建物を建築するためには、以下の3つの条件が必要となります。

 

①都道府県知事の許可がある場合

②農林漁業要建築物を建てる場合(サイロや温室などの他、農林漁業者の住宅を含む)

③その地域に住む人にとって必要なものである場合
 ・図書館、公民館、鉄道施設、変電所、仮設建築物など
 ・非常災害の応急処置
 ・都市計画事業を行う場合

 

つまり、農林漁業者以外の個人が市街化調整区域内で新築住宅の建築や、中古住宅の増築・改築をする場合は都道府県の許可が必要となります。現在は既存宅地確認制度の撤廃により、市街化調整区域に指定されるよりも前に建築された宅地でも許可なしでは増築や改築をすることはできません。しかし各都道府県独自の基準が設けられており、建築許可が下りれば建て替えることは可能です。ただし、必ずしも許可が得られるとは限りませんので、事前に不動産会社に建て替えが可能かどうかの確認をしてもらうようにしましょう。

 

市街化調整区域にすでにある
不動産投資用の物件は買わないほうが良い?

 

市街化調整区域の物件は低価格で売られていることも多く、不動産投資の投資先物件として魅力的に映るかもしれません。しかし、前述の通り市街化調整区域内では一部例外があるものの、原則として建物を建てられないため、資産価値が低い傾向があると言えます。また、市街化を抑制しているという特性上、電気・ガス・水道といったインフラ網が十分に整備されておらず、自前で整備するための追加費用がかかる可能性もあります。

さらに、市街化調整区域は、駅・商業施設・公共施設から離れていることが多く、日常生活に不便さの多い地域であるため、賃貸や売却を希望しても需要がない可能性もあります。一方で、土地代と固定資産税の安さや、都市計画税がかからないといったコスト面での優位性があり、不便な反面、自然が豊かなエリアであるため、静かで穏やかな生活を送れるのも大きなメリットでしょう。建物ではなく土地を活用するなら検討の余地があるかもしれません。

 

市街化調整区域の土地
建物なしで土地活用を目指す方法

 

建物を建築することに制限が設けられている市街化調整区域ですが、建物を建てることなく活用する方法も検討できます。市街化調整区域の土地活用方法について考えてみました。

 

例1_土地の管理までしてもらう資材置き場
木材や鉄鋼など資材置き場としてなら、土地を業者に貸し出すだけで、基本的に運営・管理を行うことがないため、土地の所有者にとって手間がかからない活用方だと言えます。ランニングコストがかからずに長期的な収入が望める点では、相続などで眠っている土地を活性化しやすいでしょう。駅から遠い、周辺に商業施設や住宅が無いようないわゆる活用に不向きな土地であっても、割と需要があるので検討してみる価値があります。ただし、定期的な利益は得られるものの、大きな収入については望めないのが資材置き場利用の特徴です。土地を貸すだけで大金が得られるという甘いビジネスはないため、大きな利益を期待している人には向いていません。

 

 

例2_造成なしで太陽光発電
近年、山間部や郊外の土地に太陽光パネルが大量に設置されている風景を目にしますが、市街化調整区域の土地活用としては有効な方法でしょう。地上に直接設置をするフィールド設置型の太陽光発電設備は、一定規模の発電システムを設置することで、固定価格買取制度が適用されます。太陽光パネルの故障などもあり、保障制度の有無や定期的なメンテナンスに気をつけなければなりませんが、ランニングコストを抑えながら、毎月まとまった収入を望んでいる人におすすめの活用方法といえるでしょう。

 

例3_簡単な整備で始められる駐車場経営
土地を整備するだけで手軽に土地活用をしたいと考えるなら、駐車場経営がおすすめです。枠線を引くだけの青空駐車場であれば、初期投資も大幅に節約できます。月極駐車場として長期契約をすることで、毎月安定した収入を得ることができる点でも魅力的でしょう。コインパーキングもありますが、ある程度の利用者がいないとなかなか思うような収入には結びつかないため、郊外では月極駐車場が推奨されます。

 

これなら建物の建築も検討できる
市街化調整区域の不動産投資

市街化調整区域であっても各都道府県独自の基準が設けられており、建築許可が下りれば建て替えることは可能です。その場合には以下のような投資を検討することもできます。

 

例1_場所を問わず需要がある高齢者向けの施設
高齢化社会で老人ホームの需要性はますます広がりつつあり、市街化調整区域のような不人気な土地でも求められています。むしろ、少し郊外の環境が良いところを求める新たなニーズも生まれつつあります。需要性が高いからこそ、市街化調整区域の土地を有効活用できるおすすめの方法といえるでしょう。

 

例2_地域貢献になる日用店舗
市街化調整区域の土地を建物として活用するときは、農家などの人たちが住むために必要な日用店舗に限られます。たとえば、飲食店・コンビニ・薬局・診療所など毎日の生活に必要な店舗は、市街化調整区域の土地でも建物として活用可能です。コンビニの場合「リースバック方式」と「事業用定期借地契約」の2つの方法がありますが、事業用定期借地契約であれば毎月の収入は安くなりますが、負担が少なく手軽に始められるためリスクを低くしながら活用を見込めるでしょう。

 

デメリットを理解した上での
土地活用は検討できる

一般的には建築制限や不便さといったデメリットから、購入を敬遠されるのが市街化調整区域ですが、価格の安さや静かな環境など、条件さえ揃えば魅力的なメリットのあるエリアだとも言えます。投資家の競合が少ないからこそ、市街化調整区域内でも探せば掘り出し物件を見つけることが可能です。良い物件に出会えれば、価格の安さや固定資産税の安さ、都市計画税がかからないことなど、その魅力は非常に大きいと言えます。

 

いずれにせよ不動産投資用物件にどのような条件を求めるのか考え、メリットとデメリットを理解したうえで、市街化調整区域の物件への投資を検討すべきでしょう。今村不動産では新規の不動産投資物件のご紹介や開発以外に、保有されている土地や物件の買取・再開発も行っています。市街化調整区域に不動産をお持ちで活用や売却に悩んでいるオーナーの方も、ぜひお気にご相談ください。

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