2023年の不動産投資市場はどうなる? 2023年経済予測と不動産投資市況

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2023年の不動産投資市場はどうなる? 2023年経済予測と不動産投資市況

2023年に突入して1週間あまりが経ちましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。2022年は2月のロシアのウクライナ侵攻に始まり、世界的なサプライチェーンの逼迫によってコストプッシュ型のインフレが発生し、急激な金利上昇や今後の景気減速懸念を背景に、株式や債券などさまざまな金融市場で価格下落が進行しました。一方で、インフレヘッジなどの目的から実物資産である不動産への投資は注目され、2021年に引き続き高水準の価格を維持した1年でもありました。

 

2023年に入ってもコロナウイルスの影響はいまだ市場に影を落とし、インフレの脱却の視界も良好だとは言い難い状況です。そんな先の読みづらい2023年の不動産投資市場はいかに動くのか。2023年の経済そして不動産市況を読み解く2大キーワード「インフレ」と「景気減退」を軸に予測してみます。

インフレのピークは過ぎたが
高止まりが懸念されている

2022年のアメリカS&P総合500種は年初来約20%下落し、その年間下落率は2008年以来の大きさとなりました。インフレとその抑制に向けたFRBによる対応の積極度は2023年に入っても引き続き株価を左右する重要な要因となる可能性が高いと言えます。アメリカの消費者物価指数は依然として高水準ではあるものの、2022年7月に前年比で9.1%に到達、11月には前年比で7.1%上昇となり、上昇率は5か月連続で前の月を下回り、記録的だったインフレが落ち着く兆しが出ています。また、深刻な人手不足を背景に賃金の伸びも高い状況が続いています。FRBが12月の会合で0.5%の利上げを決定し、利上げ幅を4会合連続で続いた0.75%から圧縮したのも記憶に新しいところです。

 

ロイター通信によると、FRBが今年1月4日に公表した2022年12月13-14日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、インフレ抑制に向けた利上げを継続しつつも経済成長へのリスクを限定的とする方法で進められるよう、全ての参加者が積極的な利上げペースを緩める見解で一致していたことが分かりました。市場やエコノミストの間では2023年内の利下げ観測も出始めています。

 

これらを見ると世界の多くの国の中央銀行の思惑通り目先の経済減速を受け入れる代わりに深刻な経済ショックは回避できる可能性が高くなったとも考えられます。ただし、今回のインフレは上限に達したとしても短期間で理想的な水準まで下がるのは難しいという見方もあります。というのも、この度のインフレの一要因であるロシアによるウクライナ侵攻を背景とした経済制裁や交易の断絶によるエネルギーや資源不足はいまだ解決されていないからです。他にも、アメリカに限らず中国のロックダウン(都市封鎖)拡大で工業品など財のグローバル・サプライチェーンの制約問題が再燃するリスクもあり、2022年に引き続き注視が必要だと言えるでしょう。

 

2023年は景気減速が
本格化する可能性が高い

一般的に適度な水準のインフレは、価格の上昇が企業収入を底上げして経済が好循環し、企業は商品の製造を増やしたり設備投資を行うなど資金需要が高まります。しかしインフレ率が高すぎると物価上昇に人々の賃金がついていけなくなりモノを買う余力が低下し、企業も仕入れや製造コストの高騰を販売価格に転嫁しきれなくなったりするなどして、設備投資を控えるなど経済を悪化させる要因になります。この度のアメリカの過度な金融政策の引き締めは、企業や個人がお金を借りるときに支払う金利を引き上げるため、資金調達がしづらくなり、やがて経済を冷やすことになります。そのため2023年は景気減速が本格化するとの見方が強まっています。

 

これは現在の日本経済にも同じことが言えます。日本は世界の中央銀行の金利政策とは逆に長らく金融緩和政策を続けてきました。これは、日本の物価上昇はエネルギーや食料の価格が上昇するという外部要因によるものであって、決して賃金が上昇して需要が物価を押し上げているような状況にはなく、日本経済にとって逆風となるような利上げをする理由が見当たらないという理由からでした。つまり、日本の中央銀行である日銀では、マイナス金利や、イールドカーブコントロールと呼ばれる長期金利の水準にターゲットを設けることで、金利を低水準に維持する政策を導入してきたのです。しかし、2022年の12月に実質的な利上げとも言えるような政策の軌道修正が発表されました。これは、インフレの影響がさらに大きくなり、経済への打撃の深刻化が懸念される状況となったとも考えられます。

 

これら以外にもさまざまな要因がありますが、2023年の経済予測としては、残念ながら景気減速リスクが明らかになりつつあるのが現状だと言えます。

 

不動産投資市場では
地域格差がさらに加速する

東京オリンピックが終わり、コロナ禍を経験してもなお、日本の不動産価格は高騰基調を保っています。身近なところでも、例えば東京都内の新築マンションなどはもはや一般的な給与所得者には手が届かない水準にまで達しました。インフレによる資材や建築費・人件費の高騰はもちろん、2022年から増えてきた海外のファンド系マネーの流入が円安によってさらに加速し、市場価格を押し上げていると考えられます。

 

ただ、不動産価格が高騰しているとはいえ、全ての不動産が上がっているわけではありません。不動産投資においてエリア選定や物件の需要有無は最重要の指標ですが、現在のところ不動産価格が維持・高騰しているのは都心・大都市部、駅前・駅近、大規模、タワーといった利便性の高いエリアに限られています。これは今後も変わることはなく、むしろ不動産価格が上がるエリアと下がるエリアの格差はより広がっていくと考えられます。

 

また、黒田日銀総裁の発表に驚かされた2022年12月の実質的な利上げは序章に過ぎず、今後さらに0.25%程度(トータル0.75%)までの利上げも視野に入れるべきだと語るエコノミストもいます。政策金利の影響を受けにくい変動金利を利用している住宅ローンへの影響は軽微にとどまるかもしれませんが、REITや不動産投資においてはかなりの影響が出ると予測されます。金利が上がれば受給のバランスによって不動産価格が下落するのは明らかですが、それでも上記に挙げたようなニーズがあるエリアにおいては引き続き高い水準で売買されるでしょう。つまり、今後の不動産投資においてはさらに市場動向やエリアやニーズを踏まえたテクニカルな投資が必要となってくるのです。

 

適切な物件への不動産投資で
インフレ・景気後退に備えたい1年

以上のことから、少し暴論になるかもしれませんが、中長期的な不動産投資を検討するにおいて2023年は直近では最後のチャンスとなる可能性が高いかもしれません。不動産をはじめ実物資産への投資は、インフレ環境下における有効な投資手段です。景気減速とインフレの高止まりが予測されるような現在の状況では、グローバルな経済悪化が逆風要因となりにくい日本の不動産への投資は国内のみならず海外からもより高い注目を集めるでしょう。また、今春以降日本国内でも利上げへと舵が切られた場合、来年以降は不動産投資への投資ハードルはさらに高くなる可能性もあります。

 

いずれにせよ、経済動向や市況を見据えながら、より良いタイミングでニーズの高いエリア・物件へ投資を行うことが不動産投資成功の鍵になることは言うまでもありません。

 

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