金利上昇による不動産投資への影響と対策

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金利上昇による不動産投資への影響と対策

世界各国で物価がなかなか上がらない状態が続き、金利も低下し続けていましたが、コロナウイルスやウクライナ情勢の影響で世界が変わりつつあります。

幅広い産業分野での生産のストップや物流の停滞により供給が少なくなったことに加え、経済対策で多くのお金をばら撒いたことにより、今度は物価が急激に上昇し始め、金利も世界的に上がり始めています。

 

日本でも2022年11月の物価上昇率が4%近くになったほか、12月には日銀が長期金利の変動幅を0.25%から0.5%に修正しました。さらに、日銀が今年7月28日に開いた金融政策決定会合で、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)の運用を柔軟化することを決めました。

この日銀のYCC柔軟化に伴い、長期金利は事実上、1.0%までの上昇が容認されたことになります。これまでの低金利政策が転換される可能性があると言えるでしょう。

 

一般的に金利が上昇すると、不動産価格は下落する傾向にあります。金利や不動産価格の変化は、購入希望者、売却希望者の双方に大きな影響を与えます。

そこで今回は、金利が上昇すると不動産価格が下落する理由と、不動産投資における具体的な備えや対策について解説します。

金利上昇が起こる背景

まずは金利が上昇すると不動産価格が下落する理由と、今後金利が上昇すると言われている理由について解説します。金利上昇が起こる背景には、世界的なインフレがあります。

2022年3月にアメリカのゼロ金利政策が2年ぶりに解除されたことで、歴史的な金利上昇が続いています。金利が上昇している理由は、アメリカの大幅なインフレ(ものやサービスの値段、物価が上がること)にあります。この大幅なインフレを抑えるために、利上げが行われています。

 

インフレとは、売るものが足りなくなって価格が上昇したり、労働者が足りなくて賃金が上がるといった理由で起こります。インフレを抑えるために金利を上げると、お金を借りる人が少なくなるので、大きな買い物を控えるようになります。

 

大きな買い物が控えられると、モノと労働者の不足が緩和されるため、物価の上昇が抑えられる傾向にあります。そのため、インフレになると金利を上昇させるのが一般的な政策とされています。

 

 

金利上昇によって不動産価格が下落する理由

なぜ金利が上がると不動産価格が下がると言われているのでしょうか。

それは、不動産価格と金利は密接に関係しているからです。

 

身近な住宅を例に考えていきましょう。金利が上昇すると、当然住宅ローンの金利も上昇します。基本的に不動産は高額のため融資を受けて購入することが多く、住宅ローンの金利が上昇すると月々の返済額が増えるため、住宅を買い控えるようになり不動産は売れなくなります。

 

また、住宅の購入予算を月々のローン返済額をもとに決めていた場合、住宅ローンの金利が上昇することで、借入可能額は減少することになります。そのため、不動産価格が金利上昇前より低くないと売れない状況になるのです。

 

このように、不動産の価格は住宅ローン金利の上昇が原因で下落すると考えられます。

 

 

金利上昇の不動産投資への影響

では、不動産投資にはどのような影響が出るのでしょうか。

1.不動産を購入するときの影響

金利上昇が不動産に与える1つ目の影響は、不動産を購入する際に生じます。

金利が上昇することで、建築資材や建築人件費等も上昇し、物価が上がります。

また、事業者(デベロッパー)は不動産を建築する際に、借り入れを活用することから資金の調達コストも上昇します。

それに伴い、投資対象である不動産価格が高くなってしまうという影響があります。

2.不動産投資のローン返済への影響

さらに大きな影響は、ローンの返済額が増えてしまうことです。

不動産投資物件を購入する際にローンを組むと、元金だけでなく金利も返済することになります。たとえば20年ローンで1,500万円を借り入れた場合、金利2.5%が2.6%に上がるだけで月々の返済額はプラス1,000円、総返済額だと約18万円も増加するのです。

月々1,000円程度であれば大きな問題ではないと感じるかもしれませんが、18万円はワンルームであれば2~3ヵ月分の家賃に相当します。「金利が0.1%上昇すると、2~3ヵ月間、空室が続いて家賃が入ってこない状態になる」と考えれば、金利上昇がいかに不動産投資へ大きな影響を与えるかイメージしやすいでしょう。

 

 

デメリットだけではない?家賃を値上げできる場合も

 

一見、金利上昇は不動産投資に悪影響しか及ぼさないように感じます。

しかし、金利上昇は必ずしもデメリットばかりではありません。

 

もともと金利上昇は、物価の上昇によって引き起こされ、物価の上昇は賃金の引き上げに繋がります。賃金が引き上げられれば、家賃が高くなっても契約できる消費者が増えるため、投資家にとっては家賃を上げるよい機会です。

 

このように、金利上昇は家賃の引き上げや物件の価値向上に繋がるため、短期的に見るとデメリットが多い反面、長期的にみると投資家にとってはメリットもあるのです。

 

 

今後金利はどのように変動する?

2023年以降、金利は上昇すると考えられています。

現在の日本では、住宅ローンにおける金利の大幅な変動は起こっておらず、不動産価格は上昇し続けてきました。

 

しかし、コロナウイルスやロシアのウクライナ侵攻によって資源の供給が滞っており、インフレに拍車をかけているのが現状です。そのため、多くの国がインフレとなり、物価は上昇傾向です。

 

日本も例外ではなく、原油価格の上昇によってあらゆるものの価格が上昇しています。このような状況のため、今まで続けてきた異次元の金融緩和が終了し、今後は金利が上昇する可能性が高いと言われています。

 

 

早めの対処がポイント!具体的にできる備えや対策は?

こうした状況下で、不動産投資において具体的に行える備えや対策をご紹介します。

1.長期の固定金利でローンを組む

変動金利の場合、金利が上昇すると返済額が増えてしまうのでキャッシュフローが減少してしまいます。

ローンを組むときはなるべく長期の固定金利で契約する方が良いかもしれません。

 

通常、固定金利の金利水準は変動金利の金利水準より高いので、損なように思われるかもしれませんが、金利が上昇する場合においては非常に有効な対策です。

変動金利と固定金利の差は、金利上昇に対する保険料のようなもの(金利上昇リスクの回避)ですので、低金利なうちは固定金利にすることをおすすめします。

2.ローンの繰上げ返済をする

繰り上げ返済が可能なローン契約の場合、繰り上げ返済することも有効な手段です。金利は借入金額に対する割合であるため、繰り上げ返済をして借入金額を減らせば、その後に支払う利子も少なくなります。

 

例えば、金利が1%で借入金額が3,000万円の場合、発生する利子は30万円です。借入金額が3,000万円のままで金利が1.5%になれば、利子は45万円、返済額は3,045万円に増加します。

ただし、金利上昇前に1,000万円を繰り上げ返済すれば、金利がかかる借入金額は残りの2,000万円が対象です。金利が1.5%に上昇した場合でも、2,000万円×1.5%で利子は30万円となります。繰り上げ返済分を含めても合計の返済額は3,030万円となり、金利上昇前と同額になります。繰り上げ返済をするかどうかで返済額に差が生じてくるのです。

 

資金に余裕があれば繰り上げ返済を行うことで、金利のかかる借入金額を少なくし、金利上昇時の返済額の増加を防止できます。

3.投資用不動産を売却する

金利が上昇して投資用物件の価格が下落してしまう前に投資用不動産を売却するのも有効な対策です。不動産を売却するなら価格が下落する前に売却しましょう。

 

ただし、不動産価格の下落がいつ起こるのかは誰にもわかりません。そして、不動産価格が下落し始めた時ということは、すでに売れ残ってしまった不動産が市場に多く出回っているということでもあり、このような状況下でいざ不動産を売却しようと思っても売れ残ってしまうリスクが高くなります。

さらに、売る時期が遅くなるほど周りも売却価格を下げるため、周りと同じように売却価格を下げなければ売れ残ってしまいます。

 

専門家などの意見や市場動向を注視しながら、不動産価格が下落する前に売却するのがおすすめです。

4.不動産クラウドファウンディングをする

現物不動産投資では、金利上昇によってローンの返済額が増加するなどのデメリットがあります。そこで検討したいのがクラウドファンディングです。

 

不動産投資には現物投資意外に「不動産クラウドファンディング」や「REIT」などの方法があり、不動産クラウドファンディングであれば、金利上昇のよい影響のみを受けることができます。

REITは、複数の投資家から資金を集め、複数の物件を購入・運用する金融商品です。REITではローンを活用して不動産を購入するため、金利上昇によるローン返済額の増加といった影響を受けやすく、利益も少なくなる傾向があります。

 

一方、不動産投資のクラウドファンディングは、ローンを活用せず、投資家からの出資金のみを利用して不動産を運用する事業者がほとんどで、ローン返済額の増加など金利上昇による影響を受けません。また、不動産クラウドファンディングの多くの事業者では、1万円~という少額から投資が可能です。

自己資金の範囲内で投資を行えば、ローンを活用する必要もないでしょう。

 

 

金利上昇が懸念される今こそ信頼できる不動産パートナー探しを

金利が上昇すると、想定より低い金額で不動産を売買しなければならなかったり、ローンの返済額が増えてしまったりと、不動産投資に悪影響が出てきます。常に市況を把握するとともに、特に日本の金利政策関連の情報は積極的にチェックする必要があります。

 

今村不動産では金融、リーシング会社など様々な不動産ネットワークを介して、不動産売買の価格やローン返済額の最適化のご提案が可能です。また、今後、不動産特定共同事業法の許可を取得し、不動産投資の小口サービスを開始予定です。

 

先の見通しが難しい今だからこそ、不動産投資のお悩みを抱えている方はぜひ一度私たちにご相談ください。

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