都市部でニーズが増加中?トランクルーム投資はアリかナシか

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都市部でニーズが増加中?トランクルーム投資はアリかナシか

不動産投資というとマンションやアパート、店舗テナントをイメージされる方が多いと思いますが、最近土地活用の新たな方法としてトランクルームへの投資が注目を集めているのをご存知でしょうか。

 

トランクルームとは、コンテナを収納スペースとして貸し出すビジネスです。欧米ではスタンダードなトランクルームを借りて荷物を保管するというスタイルが日本でも徐々に浸透してきており、特に首都圏を中心とした都市部のトランクルームは高利益をあげています。不動産投資と比べて初期投資が安く済む場合もあるため、土地を所有している多くの方が検討をはじめています。ただし注目を集める反面、トランクルーム投資で失敗をしたという話もしばしば耳にします。

そこで今回は土地やアパート・マンションなどの不動産を所有する方に向けて、トランクルーム投資ビジネスの全体像と、トランクルーム投資で押さえておきたいポイントをご紹介します。

 

 

そもそもトランクルーム投資とは

トランクルーム投資とは、店舗や空き地を再活用してトランクルームとして貸し出す投資方法で、厳密に言うと不動産投資ではなく土地活用のための投資方法のひとつです。皆さんも見たり利用されたことがあると思いますが、トランクルームには屋内・屋外の2タイプが存在します。

屋外のトラクルームは頑丈なコンテナ倉庫を使ったものが多く、企業が業務用資材などを保管したり、個人が長期間使わない家財道具や季節物を保管するために利用します。屋内のトランクルームはビルやマンションなどの全部または一部のフロアがトランクルームになっているもので主に個人利用が多く、自宅から近いところにセルフ物置として借りるケールが多いと言われています。

 

 

トランクルーム投資は屋内型と屋外型で注意点が異なる

屋内・屋外の2タイプあるトラクルームですが、トランクルームを投資対象として考える場合、その種類によって注意すべきことや必要になる要素が違ってきます。

 

1.屋内型トランクルーム

まず屋内型のトランクルームですが、こちらは既存の店舗や倉庫、ビルを再活用してトランクルーム設備を設置することになります。都市部を中心にここ20年ほどで大幅に数が増えています。用途変更に伴う行政への申請は基本不要ですが、床面積が200㎡を超えてトランクルームを運営する場合は許可手続きが必要です。屋内型トランクルームの利用者は一般の方が大半を占め、入退出管理システムなどセキュリティへの対応が求められ、また階層によってはエレベーターなど荷物を運ぶ手段の有無も大きなポイントになります。詳細は後述しますが、物件を賃貸で運営しても実質利回り約18%以上が可能です。すでに店舗や倉庫をお持ちの不動産オーナー様なら実質利回り約40%以上も現実的です。

 

2.屋外型トランクルーム

一方の屋外型トランクルームは、既製品の物置を活用したり、海上コンテナを倉庫に改造したものを活用してトランクルームを運営します。注意点としては、用途地域によっては設置できない場所がある(市街化調整区域・第1・2種低層住居専用地域・第1種中高層住居地域は設置不可)こと、ほとんどの建築確認申請が必要になることが挙げられます。

<市街化調整区域に関する記事はこちら>https://www.imaestate.com/media/news/123/

 

国土交通省ではトランクルームとして使うコンテナは建物と分類しているため、建築確認を取らずに運営すると、行政から撤去命令が出る場合もあるため注意が必要です。利用者は個人以外に道具や材料の保管に利用する企業や個人事業主も想定されます。平均利回りは約25%以上とされ、すでに土地を持っている方、たとえば駐車場オーナー様なら利回り約50%以上も狙えます。競合が増え続ける駐車場運営は年々厳しくなってきていることもあり、駐車場経営をされている方にとってトランクルーム投資は検討の余地があるかもしれません。

 

 

市場規模は拡大中!トランクルーム事業の将来性

2022年度の日本における市場規模はまだ800億円程度ですが、2010年比で約2倍の成長をみせており、2025年度には1100億円に達すると予測されています。

 

 

(矢野経済研究所 https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3246

 

コロナ禍で経済活動や社会活動が制約を受けるなか、さまざまな産業や市場においてマイナスの影響が生じた一方、収納ビジネス市場はそれほど大きな悪影響を受けることはありませんでした。特に都市部では人口集中の影響により住宅面積が小さくなることで自宅の収納スペースが減少していることもあり、外部への収納ニーズが高まりトランクルーム利用者の増加につながっています。また、コロナや働き方改革によるテレワークの推進やオフィスのダウンサイジングも、トランクルームを利用する企業の増加に影響を与えています。

トランクルームに代表される収納ビジネスは景気に対するボラティリティが比較的低く、大きな不況でも市況への影響は少なく安定したビジネスモデルと言われ、大手事業者を中心に新規出店には積極的な姿勢がみられており、今後も引き続き拠点数の拡大が進むものと予測されます。

 

 

トランクルームの運営方法3タイプ

トランクルーム投資で失敗しないためには、どのような運営方式があるのか事前に把握しておくことが大切です。トランクルームの運営方法には3タイプあり、どの運営方法を選ぶかはオーナーの自由です。主に以下の3対応運営方法から関わり方を選択することになります。

 

1.一括借り上げ方式(リースバック方式)

一括借り上げ方式は、自身が所有するトランクルームを運営会社に借り上げてもらうことで賃料収入を得る方式です。運営や管理の手間はかかりませんが、当然土地とトランクルームを用意できるだけの初期費用は必要になります。運営会社からの賃料が利益となるため、トランクルームの利益率に左右されず、安定した収入を得られることがメリットだと言えます。経営開始当初に利用者ゼロで赤字になるリスクや、運営中に空室が起きるリスクなどを抱えることなく、スタート時点から毎月同じ金額の収益を得られますが、仮にトランクルームが満室になり大きな収益となっても、もらえる金額が変わらないためローリスクローリターンな契約だと言えます。

 

2.業務委託方式

土地所有者が所有地や不動産を用意し、コンテナやトランクルームなど必要な工事などをすべて完了した後、トランクルームの運営会社に業務委託をする方法です。自身で初期投資を行い運営会社に貸し出すまでは上記の一括借り上げ方式と一緒ですが、経営自体はオーナー自身が行うことになります。清掃をはじめとした管理業務は運営会社に委託する、賃貸マンションをはじめとした多くの不動産投資で取り入れられているものです。この運営タイプは、多くの契約が入って、トランクルームの利用者がふえるほど、賃料収入が増えて収益も上がります。運営会社に支払う委託手数料は売上の15~20%程度が業界相場と言われていますが、提携する会社によって料金設定が異なるため、複数の会社を比較する方がいいでしょう。

 

3.自己経営方式

土地管理・集客・顧客対応など、トランクルームの経営に関わる全てを自分で行う方式です。必要な業務は自ら行うため、膨大な手間や専門知識が必要になりますが、他の方式と違って委託料による出費がない点が魅力です。当然リスクは高くなりますが、多くの利用者を獲得できれば賃料がそのまま利益となるため、大きな収益を目指したいという方は挑戦する価値のある経営方式でしょう。

 

 

トランクルーム投資の初期費用は200万から

運営方式はさまざまありますが、いずれにせよ気になるのはその初期費用やランニング費用などコスト面です。屋内型と屋外型それぞれのケースで見ていきましょう。

 

まず屋内型ですが、目安として1坪あたり100,000円~120,000円と少額の初期投資で始められるのが特徴です。例えば商業ビルのワンフロア(20坪)に設置する場合を例に考えると、

 

・設営費:200万円(1坪10万円)パーティション代+工事費込み

・看板代:20万円

・監視カメラ設置費:20万円

=初期費用:240万円程度

 

となります。ただしこれはビルや店舗など不動産物件を既に所有している場合で、建物を新築で建ててしまうと初期投資費用が掛かりすぎるので、不動産投資としては不向きだと言えます。ここに、前述の「業務委託方式(フランチャイズ)」のランニングコストをざっくりですが合わせてみると

 

・管理料:15~20%

・光熱費:10%

・人件費:0%

・固定資産税:5~10%

・リスク対策費:10%

=ランニングコスト:売上げの40~50%程度

 

となってきます。この基準を参考に、経営として成り立つかどうか判断する必要があります。トランクルームの賃料は立地はもちろんそのサイズ(1帖~4帖ほど)によって変動しますが、おおよそ4,000円~10,000円前後が平均だと言われています。

 

 

次に屋内型のトランクルームですが、こちらは貨物用のコンテナを空き地に設置して利用してもらう形態で、敷地にいくつコンテナを設置するかで初期費用が変わってきます。コンテナ1基はおおよそ100万程度で購入(運搬や設置費込)可能で、1基を4部屋ほどに区切ることができます。50坪の土地に5基を設置するケースで計算すると

 

・コンテナ5基:500万円

・整地費用:50万円(1坪10,000円)

・水道、電気引き込み工事:30万円

・看板代:20万円

・監視カメラ設置費:30万円

=初期費用:630万円程度

 

となります。アパートやマンションに比べると安価にスタートできることがわかります。屋内型同様に「業務委託方式(フランチャイズ)」のランニングコストをざっくりですが合わせてみると

 

・管理料:15~20%

・光熱費:3%

・人件費:0%

・固定資産税:20~25%

・リスク対策費:5%

=ランニングコスト:売上げの43~53%程度

 

ランニングコストは屋内型と大差ありませんが、エアコンの設置が不要な屋外型のほうが電気代は大幅に低く抑えることができます。ただしこれは一例で、屋外型トランクルームは、大きさの違うコンテナをそれぞれ設置するやり方と、1つの大きなコンテナを間仕切りするタイプがあります。ケースに応じて経営計画を立てる必要があります。

 

 

トランクルーム投資が失敗に終わる理由

トランクルーム投資は初期投資が低くローリスクで始められる反面、注意したいデメリットやリスクも当然存在します。投資が失敗に終わる代表的な要素は「収益性」と「需要予測」の読み違えです。

 

アパート・マンション経営に比べて、トランクルーム経営は高い収益性を見込めません地域や広さでも価格は変わりますが、賃料は月6,000円~1万円が相場です。人気のエリアでもそこまで強気の金額設定は出来ないものと考えるべきです。また、トランクルームを利用する人は少しでも近いエリアのものを使いたいと考えるため、立地に大きな影響を受ける点は特に注意が必要です。

 

拡大市場であるということは、その分競合が多くなっているということです。いまからトランクルーム投資をはじめる方は、後発ほど安価な価格設定で集客し始めるのが一般的なので、どんどん賃料を下げなければいけない可能性があります。トランクルームの投資・経営を進めていくうえでは、地域の需要傾向やシーズン性、競合他社の動向などを綿密に分析しながら慎重に進める必要があります。

 

そのほかにも、基本的に無人での経営となるため、施設のメンテナンスやセキュリティ対策を万全に行っていないと、物品の劣化や盗難など収納保管物に影響が出る可能性もあります。利用者がどんなものを預けるか予測できないため、何を禁止するかなどの利用者ニーズと照らし合わせた線引きも難しく、場合によっては面倒なトラブルが発生する恐れもあるでしょう。

 

 

トランクルーム投資を検討するなら土地選定が何よりも重要

トランクルームの投資は、アパート経営が難しい小さな土地や駅から離れた位置にある土地など、癖がある土地でも始めやすい土地活用である反面、場所によってはそもそも集客が見込めず経営として成り立たないこともあります。

 

向いている土地の特徴としては、都市部や郊外の住宅地に近いことが挙げられます。都市部は家やアパートのスペースが限られているため、トランクルームのニーズが高い傾向にあります。また、交通の利便性が高く、駅や主要道路からアクセスしやすい場所は、利用者が物を取り出しやすいというメリットがあります。さらに、安全性が高く、犯罪の少ない地域を選ぶことで、利用者からの信頼を得られるでしょう。大きな商業施設やオフィス街の近くには、ビジネスのための保管場所としての需要も期待できます。

 

逆に、人口密度が極端に低い過疎地域は、そもそもトランクルーム投資の土地として向いていません。需要が少ないことに加え、屋外型のトランクルームになる場合が多く、洪水や地震などの自然災害のリスクが高い場所は、安全性を確保するためのコストが増加する傾向にあります。また、たとえ都市部であったとしても、土地価格が極端に高いエリアは初期投資が大きくなり、回収に時間がかかる可能性があります。すでにトランクルームが多数存在するエリアでは新規参入のハードルが高まり、競合との差別化が求められるのです。

 

 

都市部の土地活用でお悩みの方にはおすすめできる投資方法

手間がかからず、初期投資を抑えられるため、土地を活用する際の方法のひとつとしても、トランクルーム投資はおすすめです。ある程度の土地条件と経済的条件は必要ですが、それ以外は、管理をしっかりして、顧客満足度を維持していれば、アパートやマンション経営よりもスムーズな経営ができることが多いでしょう。

ただし、実際には収益が出なかった、初期投資を回収できなかったなど、失敗に終わることも少なくなりません。トランクルーム投資で自ら経営を行う場合、運用方式などを踏まえた上で、事前調査や収支計画をしっかりと立てる必要があります。

 

私ども今村不動産は不動産の総合ディベロッパーですので、トランクルーム投資に関する詳しいご提案などは専門業者に相談されることをおすすめします。ただし、もし現在所有する土地の活用でお悩みの方がいましたらいつでもご相談ください。これまでの幅広い実績やノウハウをもとに、土地活用方のご提案や、条件によっては高額での買取査定も可能です。

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