空室リスクを回避するための効果的な「空室対策」9選
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賃貸経営の不安要因として挙がる「空室リスク」。
賃貸住宅が借り手市場の昨今、「空室が埋まらない」と悩んでいるオーナーは多いのではないでしょうか。空室が目立つと家賃収入が減ってキャッシュフローが悪化し、ローン返済やメンテナンス費用の積立が滞ってしまいます。新築・中古に限らず、ニーズに合った適切な空室対策を行う事が大切です。
本記事では、マンションやアパートの空室を埋めるのに有効な空室対策を紹介します。空室の原因やターゲットユーザーなどを踏まえて、費用対効果の高い対策を行いましょう。空室物件を所有している方は、是非参考にしてみてください。
空室対策とは?
空室対策とは、賃貸住宅に空室を作らないためにオーナーが行う様々な対策のことです。
具体的には、退去があった部屋になるべく早く次の入居者を決めるための対策や、入居者になるべく長く入居し続けてもらうための対策などを指します。いかに満室を実現し、それを維持していくかが賃貸経営における最大のポイントといっても過言ではないでしょう。
空室率は全国的に上昇しています。少子高齢化といった要因から賃貸住宅のストックが過剰になっており、賃貸経営は今「借り手市場」です。立地の良さや新築物件といった単純な条件だけでは入居者が見つかりにくい時代と言うことです。将来にわたって賃貸市場で生き残っていくためには、空室の原因やターゲットユーザーをしっかりと把握した上で、地域のニーズに合った「空室対策」が必要になります。
効果的な空室対策アイデア 基礎4選
まずは空室対策として最もよく行われている基本的なアイデアを4選ご紹介します。
1.物件情報を充実させる/募集資料を見直す
空室を埋める上で一番大切なのは、多くの人に物件を知ってもらうことです。いくら物件の質や条件が良くても、物件探しをしている人に見つけてもらえなければ意味がありません。まずは問い合わせ率や内見率アップを目指しましょう。
近年はインターネットを利用して物件を探すことが主流になっており、物件探しをしている人は自分の希望に合った条件でお部屋を見つけています。オーナーの要望だけを反映させた募集を行ったとしても、その要望が入居者の希望に合ってなければ、内見数が増えることはありません。
物件探しをしている人が内見に行くかどうかは、賃貸物件の検索サイトに掲載されている情報や写真が判断材料になってきます。写真が見えにくくないか、掲載情報が古くなっていないかなど、初めて物件を見る人の気持ちになって見直しをしてみましょう。
物件写真や設備、近隣の公共施設・買い物スポットなど、掲載情報を充実させることで、問い合わせ率や内見率アップが期待できます。また、天気が良い日に写真を撮り直すだけでも開放的で明るい雰囲気になり、物件の印象を大きく変えられます。
内見の数が増えるほど、入居が決まる可能性も上がります。費用が掛からず、継続的な効果を発揮する対策なので、まずは物件情報を充実させることから着手してみるのがおすすめです。
2.家賃の見直し/敷金・礼金・更新料を安くする
金額設定を見直すことも大切な空室対策です。家賃が地域相場よりも高い場合、物件探しの下調べの段階で候補から外されてしまう可能性が高いです。
とはいえ、家賃を下げると当然収入の減少に直結するため、敬遠するオーナーも多いのではないでしょうか。大切なのは、適切な家賃設定を行うことです。
また、入居者の初期費用負担を下げるのも一つの手段です。家賃は継続的な収入源になりますが、初期費用の減額だけであれば収入源は一時的なものに抑えることができます。最近は敷金・礼金ゼロの賃貸物件も増えており、敷金・礼金それぞれ1ヶ月の物件と、敷金・礼金なしの物件では初期費用が10万円単位で違うため、入居者からの印象が大きく変わります。
家賃や更新料、敷金、礼金の値下げ・廃止はコストを掛けずにすぐ行える空室対策です。更新料を安くすることで退去率低下効果も期待できます。ただ値段を下げるだけでなく、周辺をリサーチして相場を把握してから家賃変更の判断をしましょう。
3.入居者に人気の設備を導入する
無料Wi-Fiや宅配ボックスなど、入居者に人気の設備が物件に備わっていない場合は、設備の導入を検討してみるのもおすすめです。
インターネットを使って物件探しをする際、入居者は自分に必要な住宅設備にチェックを入れて検索します。そのため家賃や立地などの条件が当てはまっていても、設備がないだけで検索結果に表示されないことがあります。入居者に検討してもらう機会を増やすのは空室対策として大切なポイントと言えるでしょう。
賃貸住宅の人気設備は次の通りです。
・無料インターネット環境
・モニター付きインターホン
・オートロックやホームセキュリティー
・宅配ボックス
無料インターネット環境は、年齢や家族構成を問わず人気の高い設備です。
モニター付きインターホンやオートロックといったセキュリティ設備は、学生や女性の一人暮らしが多いエリアで人気があります。
近年は通販による荷物の受け取りが増加傾向にあるため、一人暮らし向けの間取りの場合は宅配ボックスの設置も効果的です。
このように、人気設備と言っても、ターゲットによって少しずつ需要が変わってきます。それぞれの物件のターゲットに合った設備の導入を検討してみてください。
4.リフォーム/リノベーションを行う
築年数が長い物件で入居者ニーズと合わない間取りになってしまった場合は、リフォームやリノベーションを行うことで人気物件に生まれ変わるケースがあります。
リフォームと言うと多額の費用が掛かるイメージがあるかもしれませんが、最近は多彩なサービスを提供する会社が増えており、より効果的なポイントに絞った施策で費用を抑えることも可能です。リフォームやリノベーションを行う際には、費用だけに囚われず、家賃倍率やリフォーム利回りを意識して予算の目安を考えることが重要です。失敗しないように大切なポイントを押えてリフォーム・リノベーションを行いましょう。
効果的な空室対策アイデア 応用5選
続いては、契約内容や入居条件に関わる空室対策アイデアをご紹介します。条件を見直すことでより幅広い層のターゲットを狙うことができ、空室の回避に繋がります。
1.ルームシェア可にする
2部屋以上の間取りの物件の場合、ルームシェアを可能にすることで入居率アップを目指せます。シェアハウスとは違い、ルームシェアであればオーナー側での間取りや設備の変更が不要なため費用が掛かりません。カップルや友人同士で入居できる物件を探している人が選択肢に入ることで、入居率アップが期待できます。ただし居住人数が増えるほど騒音トラブルのリスクも高くなるため、入居時に契約内容やルールをしっかり説明する必要があります。
2.楽器演奏可にする/防音設備を整える
楽器演奏可、または楽器演奏相談可の物件に変更するのも一つのアイデアです。楽器演奏可は防音性の高い構造の物件、楽器演奏相談可は時間や楽器の種類を限定して演奏を許可する物件を指します。
防音設備を整えるには多額のリフォ-ム費用がかかりますが、近くに音大や音楽専門学校がある立地の場合、思いきって楽器演奏可の物件にリフォームするのも良いでしょう。楽器演奏相談可の物件であれば、リフォームせずとも工夫次第で対応できるケースもあります。例えば「夜22時まで」という条件で楽器演奏できる物件にすれば、趣味程度に音楽を楽しみたい方にも検討してもらえます。近年はオンラインゲームや動画配信などの人気により、防音設備のある物件を探す人は増加傾向にあります。エリアの特徴やターゲット層に合わせて、条件を検討しましょう。
3.ペット入居可にする
ペット入居を受け入れることで、競合物件との差別化を図ります。
内閣府の調査によると、ペットを飼わない理由として「集合住宅(アパート・マンションなど一戸建てでないもの)であり、禁止されているから」が25.2%を占めています。都市規模別に見ると大都市でよりその傾向が高く、都心部になるほどペット飼育可物件が少ないようです。周囲にペット入居可の物件が少ないエリアであれば、かなり効果的な空室対策になるでしょう。
また、ペットがいることで長期的に入居してもらえる可能性も高くなります。ただし、原状回復費用が高くなる傾向があるため、敷金を多めに設定したり、契約内容をしっかり策定することが大切です。
参照:内閣府 世論調査 ペットの飼育状況について https://survey.gov-online.go.jp/h22/h22-doubutu/2-1.html
4.単身高齢者を受け入れる
少子高齢化が進行する日本において、単身高齢者の受け入れは効果的な空室対策です。単身高齢者を受け入れる賃貸物件は限られているため、入居期間が長い傾向にあるのが大きなメリットです。
注意すべき点としては、転倒や孤独死といった事故リスクが高いことです。見守りサービスとの併用やバリアフリーの改修工事など、事故を防止する施策が求められます。
5.外国人入居者を受け入れる
外国人労働者の雇用を推進している日本では、外国人入居者を受け入れるのも効果的です。厚生労働省によると、令和4年10月時点での外国人労働者数は182万人と過去最高を更新しました。
現在、外国人の受け入れに対応している賃貸物件はまだまだ少ないため、需要と供給の観点では狙い目と言えます。ただし言語や文化の違いによるトラブルのリスクがあり、家賃滞納や急な帰国による退去の可能性も視野に入れておく必要があります。在留カードの確認や外国語対応の契約書の用意とともに、異文化交流ならではのトラブル対策もセットで考えておきましょう。
参照:厚生労働省 「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和4年10月末現在)
空室になる原因と対策を考える際のポイント
ここまで空室対策のアイデアをご紹介してきましたが、具体的にどの空室対策を行うべきかわからないという方や、空室対策を行なっても空室が埋まらないと頭を抱えるオーナーは多いです。空室が埋まらない理由には以下のことが大きく影響していると考えられます。
人口減少
統計局が公表している2022年10月の人口推計で『総人口は55万6千人の減少、12年連続の現象』とあるように、日本の総人口は近年減少しています。人口が減ると、住居を必要とする人の数も減少するため需要と供給のバランスが崩れ、空室が目立つようになります。
参照:統計局 人口推計(2022年(令和4年)10月1日現在) https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2022np/index.html
賃貸アパートの増加
国土交通省の「住宅経済関連データ」によると、2018年の時点で総世帯数に対し住宅のストックは約16%多く、空き家率は13.6%となっています。全国的に住宅ストックが過剰になった影響で、賃貸住宅の空室率が上昇しています。
また、賃貸経営は所得税、住民税、相続税対策としても有効であり、土地活用として人気が高い事業です。こうした理由から毎年新しい賃貸物件が建築され、賃貸供給過多になっていることも空室が埋まりにくい理由の一つです。オーナーの努力だけでは解決できない日本社会全体の問題も関係してくることを把握しておきましょう。
参照:国土交通省 令和4年度 住宅経済関連データ
https://www.mlit.go.jp/statistics/details/t-jutaku-2_tk_000002.html
ニーズが合っていない
いくら空室対策を試しても、そもそも入居者のニーズを読み間違えている場合、空室は埋まりません。ファミリー層が住むような学校や公園が多い地域で単身者向けのワンルームアパートを経営しても入居者は集まりにくいでしょう。周辺の立地をしっかりと調査し、地域のニーズにあった物件づくりを行うことが大事です。ターゲット像やニーズの調査には3つの方法があります。
・インターネットで調査する
・物件周辺を実際に見て回って調査する
・賃貸仲介管理会社へヒアリングをする
インターネットであれば、物件が遠くにあるオーナーでも手軽に調査することが可能です。最新情報や実際の空気感を知るためには、現地を実際に見て回るのが良いでしょう。自分の足で周辺を観察することで、どんな人たちが住んでいるのか、近隣には何があるのかなど、リアルな情報からニーズを掴むことができるはずです。また、賃貸仲介会社や管理会社は常に入居希望者と関わっているため、さまざまな情報を持っています。近隣の賃貸情報や人口統計のデータなど、あらゆる角度から情報収集をしてみましょう。
まとめ
今回は賃貸経営を行う上での空室対策についてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。
空室対策にはさまざまなパターンがあり、それぞれ費用や期待できる効果が異なります。大切なのは空室となる原因を明確にし、適切な対策を行うことです。地域での需要に変化はないか、賃料相場に合っているか、ターゲットユーザーが明確になっているかなど、様々な角度から状況を分析して経営計画を立てましょう。この記事の内容を参考に、ご自身の状況にあった空室対策を選んでいただけると幸いです。
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