ロードサイド型の店舗物件の開発に必要な坪数は?

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ロードサイド型の店舗物件の開発に必要な坪数は?

交通量の多い幹線道路沿いにある、いわゆるロードサイド物件。一般的な投資用不動産物件とは違いひとつの事業を所有することになるため、不動産投資の分野のなかでも少しニッチな投資対象だと言われています。また、これまでロードサイドの事業用地は、事業用借地権方式など契約形態によっては都心部のマンションやオフィスビルなどに比べると利回りが低く、収益物件としての旨味は少ないと言われ続けてきました。

 

一方で、昨今の時代トレンドや新型コロナウイルスの影響を背景に、地方都市に対する価値が見直されつつあります。なかでも注目され始めているのがロードサイド型の店舗開発。大規模な建築費用や改修費用を必要しないケースが多く、管理や維持の手間もかからない。契約形態によりテナント撤退リスクもある程度フォローでき、収益の長期的な安定性が高いとあって、不動産投資の新たな投資先として注目されはじめています。

 

そこで気になるのが、どんなテナントを誘致すべきなのか。そもそも、どれくらいの土地があればロードサイド型の店舗としてテナントを誘致できるのか。今回はそんなロードサイド型の店舗開発における「テナント誘致と土地面積」について解説します。

そもそもロードサイド型の店舗物件とは

幹線道路や郊外の生活道路沿いなど、車の交通量が比較的多いエリアにある物件のことを「ロードサイド物件」と言います。車での来客が中心になるため、都心部の不動産と比べて駐車場の確保や視認性向上のための看板の設置など、店舗として求められる要素は多岐に渡ります。

 

一方で、駅から多少遠い土地でも開業しやすく、都心部や駅近の土地に比べて坪単価が安く床面積が広いといった利点もあります。もちろん、一言に「ロードサイド型の店舗物件」といっても、土地の広さやテナントは多種多様。そこで今回は、不動産投資におけるロードサイド物件、そのテナントや求められる坪数についてまとめてみました。

 

 

ロードサイド型の店舗物件の
新規開発には300坪必要?

いざロードサイドの投資物件を探そうとしても、そう簡単に大規模な土地が見つかるものではありません。それもそのはず、ロードサイド型の投資用店舗物件は入退居の手間が少ないのが魅力ですし、その店舗で収益が上がっている場合、物件所有者は手放す理由もありません。そこでポイントとなるのが、ロードサイド型の店舗開発が不可能だと思われている隠れた優良物件や土地の目利きです。一般的に交通量の多いロードサイド型の店舗物件は、その収益性も考慮すると300坪程度の土地が必要とされてきました。しかし近年、多種多様な業態が地方都市のロードサイドに出店する傾向があり、これまでの業界定説は過去の価値観となりつつあります。

 

 

ロードサイドに出店を見込むテナントの
業種によって必要な坪数は異なる

ひと言にロードサイド型の店舗といっても、そのテナントは多種多様。どんな業種が、どんなエリアに、どれくらいの坪数の土地や物件を探しているのでしょうか。これらの情報を網羅的に掲載しているウェブサイトは現在のところ見当たりませんし、よほどの大手やロードサイド型の店舗物件に特化したリーシング会社でもない限り、すべてを把握している会社はほぼ存在しないと言っても過言ではありません。また、時代やトレンドによって大きく変わるため、常に最新の市場動向にアンテナをはっておく必要があります。

 

以下はインターネットに出店候補地募集を掲載している企業の情報や、弊社協力企業からヒアリングした現時点(2022年1月)時点での参考坪数です。

 

●自転車買取店(バイチャリ)

希望立地:主要道路に面した物件

敷地面積:20~100坪

建物面積:記載なし

駐車場:記載なし

土地間口:記載なし

 

●弁当店(ほっかほっか亭)

希望立地:ロードサイド

敷地面積:100坪~

建物面積:25~60坪

駐車場:記載なし

土地間口:記載なし

 

●葬儀社(大阪祭典)

希望立地:空地、駐車場、倉庫、工場跡地等

敷地面積:150~250坪

建物面積:記載なし

駐車所:記載なし

土地間口:記載なし

 

●とんかつ専門店(かつや)

希望立地:国道/主要道等

敷地面積:200坪以上

建物面積:30坪

駐車場:15台以上

土地間口:記載なし

 

●作業用品店(ワークマン)

希望立地:片側1車線以上で概ね1万台程度の交通流入がある道路

敷地面積:記載なし

建物面積:120坪(都市型店舗は応相談)以上

駐車場:15台(都市型は7台)以上

土地間口:20m(都市型は16m)以上

 

●からあげ専門店(からしげ)

希望立地:幹線・準幹線及び主要生活道路沿い

敷地面積:250~350坪

建物面積:35~40坪

駐車所台数:記載なし

土地間口:30m以上

 

ロードサイト店舗だけあって大規模な敷地面積を必要とする業態が多いのが正直なところですが、およそ100坪程度からでもロードサイドに出店を希望するテナントもあることがわかります。さらに、業態によって必要とする敷地面積と建物面積の比率に差がある(=必要ととする駐車場の台数が異なる等)ことにも注目すべき要素です。

 

相続などでロードサイドの土地を受け継いだものの用途がなく遊休地になっている、そのまま駐車場として活用しているが不採算が続いているといったオーナーの方。ロードサイドの投資用不動産を依頼された仲介会社の方。その土地活用法として、ロードサイド型の店舗物件開発を検討してみるのも一手かもしれません。

 

 

100坪あればロードサイドに
テナントを誘致できる可能性も

弊社の事例をひとつご紹介いたします。2018年、不動産仲介会社様よりご相談いただいたある事業主さんが、大阪の北摂地域に120坪程度のロードサイドの土地を所有されていました。以前は小規模なコンビニがテナントとして入居されていましたが、すでに退去されており土地活用に悩んでおられるとのことでした。というのも、ここ数年の動向として、地方の高齢化と経営の難しさが合間って、コンビニ業界では地方の幹線道路沿いにある小規模店舗の撤退が相次いでいました。みなさんも、車で通っている時にコンビニ跡地を目にする機会が増えたのではないでしょうか。

 

立地はお世辞にも良いとは言えない。土地面積も大きいとは言えない。そんな物件に出店できるテナントはあるのか?市場リサーチとテナントアプローチの結果、手を挙げたのは家族葬を経営する会社でした。ご存知の通り年々葬儀の規模は縮小し、葬儀会館も以前のような大規模なものではなく、小さな家族葬会館で行うことが一般的になってきていました。ちょうどその物件が立地する地域には小規模な葬儀会館が少なかったことと、駐車場が数台ある小規模なコンビニ跡地であれば、建物を居抜きで活用することで初期建築コストを抑えられることなど条件が合致して契約に。弊社で店舗開発のお手伝いをさせていただくこととなりました。

 

このように、ひと言にロードサイド型の店舗物件といっても、地域やニーズ、規模さえあえば様々なテナント誘致と店舗開発は可能になります。重要なのは物件の坪数だけではありません。いかに時代のトレンドや地域特性を把握し、最新の情報や市場動向を掴んでいるかが、ロードサイド型の店舗開発成功の鍵だと言えるでしょう。

 

 

重要なのはロードサイドの地域性と
将来性を見込んだ店舗開発

ロードサイドの土地活用は小規模なマンションやアパート経営とは異なり、他業種への参入になります。住居や駐車場などであれば身近な人に相談をすることで情報を得られるかもしれません。しかし、ロードサイド型の店舗は投資対象としてまだまだニッチな分野なので、インターネットを探しても情報が少ないのが現状です。

 

ロードサイドの土地活用は情報戦です。多岐にわたる業種のテナントの出店動向や地域性などの最新情報を常にリサーチし、収益性や希少性の高い物件を見極められる、店舗開発に長けている不動産会社に相談することをおすすめします。

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