外国人不動産投資家も注目!? 空き家の不動産投資について
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全国的な人口減少を背景に数年前より社会問題にもなっている空き家ですが、その有効活用としてリフォームして貸し出す投資家も増えてきています。空き家は通常の物件を比較するとコストを抑えられ、資産運用と社会貢献の両立ができるというメリットがある反面、デメリットも多いため、注意しなければならない点もあります。
この記事では、メリットやデメリット、リスクなど、空き家投資の基礎知識について解説していきます。空き家投資で失敗しないためのポイントをぜひ押さえましょう。
実際はどんな状況?
日本の空き家事情
築年数の古い空き家を安く購入し、リフォームやリノベーションをして不動産投資に活用することを「空き家不動産投資」や「空き家投資」といいます。日本では、少子高齢化や地方の人口減少などの理由から、空き家の数が増加しており大きな社会問題のひとつになっています。
少し古いデータですが、「平成30年住宅・土地統計調査」によると、2018年時点で空き家は848万9千戸。政府の空き家対策が功を奏し伸び率は鈍化しているものの、2018年の空き家率は13.6%に上昇し、過去最高の割合を示しています。この数字は2024年現在は確実に増えています。政府は、空き家の持ち主に直接指導することを可能とする空き家対策特別措置法を制定するなど、増え続ける空き家問題にメスを入れ始めています。2024年4月から施行された「相続登記の義務化」もその一環です。
空き家は入居者がおらず管理が行き届かない物件であることから、防災・衛生・景観などさまざまな理由で、社会に悪影響を及ぼしているとされています。そのため、空き家活用は全面的に推進されているという社会背景があり、実際に空き家を利用したコーワーキングスペースやカフェ、本屋などもあり、全国ではすでにさまざまな取り組みが行われています。空き家を不動産投資として活用することは、実は個人の経済的なメリットだけでなく、その行為自体が社会貢献になる可能性が高いと言えます。
空き家への不動産投資は
大きく3つの方法がある
空き家投資には、主に3つの活用方法があります。
①賃貸物件として活用する
空き家を投資家自身が購入し、第三者に貸し出すことで家賃収入を得る、一般的な不動産投資と同じ方法です。投資対象となる空き家は、築古や再建築不可物件であるケースが多く、物件価格が安い傾向にあります。利回りが高い傾向もあり、物件価格と投資家の経済力によっては現金で物件を購入できることもあるでしょう。
②リフォームした空き家を売却する
購入した物件をリフォームによって資産価値を高めた後に売却し、売却益を得る投資方法です。買い手がすぐに見つかれば、すぐに利益を出すことができます。また入居者が見つからず、ローンの支払いだけが発生する空室リスクがありません。一方で、リフォームには知識や経験が必要なため、初心者にはハードルが高い投資手法だと言えます。
③事業として活用する
普通に賃貸に出すよりも民泊や貸別荘としてのニーズが高い立地の場合、事業用として活用する方法もあります。数年前から増えてるコインランドリー投資もこのケースが多かったりします。ただし、物件の種類によっては家具や、生活インフラ(水道・電気・通信など)の整備、事業用リフォームなどに多くの初期投資が必要となることに注意が必要です。
空き家投資における
3つのメリット
空き家不動産投資には大きく3つのメリットが挙げられます。
①初期費用を抑えられる
一般的な不動産投資というとアパートや区分マンションでは数千万円以上、中古アパートでも3,000万円〜5,000万円などの投資額となることが多くなっています。ローンを組むにしてもレバレッジをかけた分のリスクがあることには変わりはありません。一方の空き家物件はアパートや区分所有マンションと比較すると購入費用が安く、初期費用を抑えて投資することができます。入居者がいない状態の空き家は購入後すぐに家賃収入が得られない状態なので、市場に出回っているものの多くが1,000万円前後、場合によっては数百万円と低価格となっています。とはいえ築年数や立地のよっては高い物件も多いため、初期費用を抑えて始めたい方は物件の選定に注意しておきましょう。
②高利回りが期待できる
マンション投資などの不動産投資と比較すると、空き家投資は表面利回りが高いというメリットがあります。区分マンション投資やアパート経営などでは、表面利回りは3%~7%程度の水準ですが、空き家投資の場合は、表面利回り10%以上の物件も少なくありません。空き家不動産投資は家賃収入が低いものの投資額も低いため、高利回りの物件も多いという特徴があります。また、空き家投資では空き家を丸ごと貸し出すため、入居者層はファミリーであることが多く、ワンルームマンションなどの単身者用の賃貸物件と比較して、入居期間が長期間にわたる傾向がある点もメリットと言えるでしょう。とはいえ、これはちゃんと入居者が付いた場合。いくら資料上の利回りが高いからといって、借り手がつかなければもちろん赤字物件になってしまいます。
③節税効果が期待できる
不動産投資で出た利益は本業の収入と相殺することができ(損益通算)、結果的に節税対策になる側面があります。空き家のリフォームやリノベーションは建物の機能回復はもちろんですが、その後賃貸物件として機能することを目的としています。そのため、付加機能を付けて「資産価値を向上させる内容である」と認められた場合、「修繕費」ではなく「資本的支出」の費用にできます。
「資本的支出」は、定められた耐用年数に応じて減価償却することが可能です。ただし、建物の維持や原状復帰を目的とした場合は「修繕費」とされ、その年の費用に計上しなければなりません。その他、リフォーム費用が一定額以下、もしくは高い頻度で行われる場合は、修繕費とみなされるケースがあります。減価償却できるものを増やしていくと、実際は黒字であっても帳簿上で赤字が計上されることがあります。不動産投資だけに着目すると赤字であることはマイナスなのですが、前述した損益通算により赤字分を相殺することが可能です。そのためトータル収益額を減らすことができ、所得にかかってくる税金(所得税・住民税)を節税することができます。
いいことだけじゃない
空き家投資の3つの注意点
初期費用が低く、高利回りが期待できるというメリットがある空き家投資ですが、高利回りの投資には相応のリスク・デメリットが伴います。空き家投資のデメリットについても事前にしっかり理解しておく必要があります。
①空室リスクが大きい
不動産投資では空室リスクが付き物ですが。空き家はその特性上長期間入居してもらえる特徴がある一方で、空き家は基本的に1室だけの運用となるため、退去された場合は家賃収入が0円になってしまいます。賃貸物件の入退去が多い2月3月以外に退去されると、次の入居者が見つかるまで時間がかかる可能性も高いでしょう。特にファミリー層は転勤だけでなく、マイホームを購入する方も多いため、いつ退去されるかわからないという特徴があります。空き家投資で空室リスクを分散させるには、物件を複数運営するという方法を採ることになりますが、物件を複数所有するには、その分の初期費用や維持管理費用などのコストや、投資へ向き合う作業の手間が増えるので本末転倒かもしれません。
②リフォームなどに想定外に費用がかかる
初期費用は少ないものの、リフォーム費用が多額になるのは、最大のデメリットといえます。例えば、いざリフォーム工事をはじめてみたらシロアリの被害にあっていて土台や束柱の補修や交換が必要だった、雨漏りや排水管劣化などが見つかってしまったなど、購入前にシミュレーションした箇所以外にリフォームの必要があり、想定外に初期費用がかさむこともあります。他にも、築年数を重ねた物件は、水漏れ事故が多く発生する傾向があります。自身の建物をカバーするために、水漏れを補償範囲に含めた火災保険に加入しようとした場合、築古で耐震性が低い物件や木造物件の場合、保険料が高く設定されている傾向があります。物件価格以外の支出が増えることで、利回りを圧迫してしまうリスクがあると言えます。
③売却が難しく、出口戦略が立てづらい
空き家を第三者に売却する際、また一段階ハードルが上がります。空き家投資は、いざ売却しようと思ってもエリアによっては物件の買い手が見つかりにくかったり、土地価値が低かったりといったケースがあります。また、空き家投資の対象となる物件の中には、再建築不可物件や、用途変更ができない都市計画制限を受けている物件も多いです。その分格安で購入できるメリットもありますが、一方で売却しようとしても土地価値が低くなる傾向にあります。一棟物の不動産投資では、入居者が付かなくなったとしても、最低限土地値で売却できることで、リスクを抑えています。しかし、土地価値が低く売却できなければ、初期費用を回収できない可能性もあり、その分リスクが高くなると言えます。
空き家投資成功は
綿密な調査とシミュレーション
空き家投資は、初期投資額が低く利回りの高い不動産投資である一方、リスクが高く、知識や経験を必要とする投資手法でもあります。空き家になっている原因が相続や資金不足など所有者の事情にある場合は、投資家として賃貸経営をする意思を持って、きちんとした手順で計画的に運用すれば十分に投資として成り立たせることができるでしょう。ただし、空き家の原因が、空き家の立地や建物の状態などにある場合、問題を解決できたとしても投資として割に合うのかを慎重に判断すべきです。
出口戦略が大事だと分かっている投資家ならば周知の通りかもしれませんが、不動産の真に価値あるものは土地です。建物は劣化しますが、土地は劣化しません。だからこそ、空き家投資の場合はその物件の良し悪しや利回りといったデータだけでなく、エリアや立地の調査がより重要になってきます。そのエリアに古くから住居や仕事場が多く、将来的にもなくなるリスクが低いか?人々の賑わいがあり、今後も継続する見込みがあるか?投資対象のエリアをじっくり調査することをお勧めします。
弊社今村不動産も、世の中に価値のあるディベロッパーを目指して、空き家の取得と地域の再開発をテーマに調査や開発を進めています。空き家をうまく利用して不動産投資を行うことで、個人の経済利益も出しながら社会貢献をしていくことに興味がある方は、ぜひ検討してみてください。
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