不動産投資で「木造アパートはやめとけ」 と言われる理由は本当か?

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不動産投資で「木造アパートはやめとけ」 と言われる理由は本当か?

不動産投資と聞くと、よくイメージされるのがマンション投資かもしれません。また、インターネットで調べると、不動産投資で木造アパートはやめておいた方が良いといった記事を目にすることもあります。本当に木造アパートの不動産投資は危険なのか?先に結論を言うと「あなたの不動産の投資目的による」となります。

 

木造アパートとよく比較されるのが、RC(鉄筋コンクリート)マンション。これは、どちらに投資するかといった二者択一の問題ではなく、どちらに投資したとしてもそれぞれにメリットとデメリットが存在します。さらに、不動産投資の目的によっては、メリットがデメリットに、デメリットがメリットになる場合が往々にしてあります。

 

大切なのは、人の意見を鵜呑みにせず、自分でしっかりと調べて不動産投資における木造アパートとRC(鉄筋コンクリート)マンションそれぞれの違いをきちんと理解しておくことです。今回はそんな王道テーマ、不動産投資における木造アパートとRC(鉄筋コンクリート)マンションの違いについて詳しく解説していきます。

木造アパートとRCマンション
長所短所はまさに真逆!

 

上記の図を見ても一目瞭然のように、木造アパートとRCマンションではまさにメリットとデメリットが逆転します。これは言い換えると、不動産投資において「どちらが良いか」ではなく「どちらを取るか」ということにつながります。さらに、各項目を詳しく見ていくと、必ずしも字面通りとは限りないことも理解できると思います。

 

木造アパートとRCマンション
結局どっちに投資すべきなの?

 

こまかな比較をするまえに、不動産投資における木造アパートとRCマンションの違いをいま一度、大枠で押さえておきましょう。

 

木造アパートの最大のメリットは、建築費用が安価なことです。費用を安く抑えることができるため、高利回りの運用が期待できます。半面、ローンを組めるのは基本的に耐用年数(木造は22年)までで、耐久性や遮音性がRCマンションに比べて劣る点などから、借り手から敬遠されるケースも少なくありません。

 

一方RC造マンションのメリットとしては、耐火性、耐久性、遮音性に優れる点が挙げられます。また、耐用年数が47年と長いため、投資費用を回収できる可能性が高いと考えられます。しかし、建築費用が木造のおよそ2倍かかる点がネックとなり、金融機関の融資を活用しないとなかなか投資することができません。

 

これらのことから、木造アパートに投資するか、RCマンションに投資するかはまさしく、投資スタイルに合わせて検討すべきだとわかるでしょう。建物の構造によって、耐用年数は異なります。耐用年数が違うということは、ローンの借入期間も異なるということです。また、減価償却により費用として認識される期間や金額が異なってくるということも覚えておく必要があります。

 

収益物件の世界では、一般的に利回りというと表面利回りで表記される習慣がありますが、利益を最大化するという点では、表面利回りではなく実質利回りで考えていく必要があります。同じ表面利回りの物件だとしても、木造とRC(鉄筋コンクリート)造の実質利回りは異なってきます。

 

一般的に、鉄筋コンクリート造の物件は維持をするための経費が大きくかかり、実質利回りが低下する傾向にあります。投資効率や利益の最大化を考えた場合、木造物件のほうが優れていると言えますが、基本的に木造の大型物件は少ないので、大きな投資を考えている方にとっては不向きであるともいえます。

 

どの物件を選択するかは、オーナー様の目的や予算によって異なってきますので、一概にこれがよいと断定することはできません。自分のライフプランに合ったものを選択することをお勧めします。

 

その点をまず押さえてうえで、以降は木造アパートとRCマンションの不動産投資におけるメリットデメリットを比較しながら、項目をひとつずつ紐解いていきます。

 

木造アパートの投資における
メリット&デメリット

 

まずは木造アパートから見ていきましょう。木造アパートの投資メリットは大きく5つあります。

 

①購入価格が安い

木造物件の一番の魅力は手軽な購入価格と利回りの高さです。一般的にRCアパートの建設に必要な額は、1坪(約3.3㎡)あたり約60万円と言われています。それに対して木造アパートは1坪あたりの工事費は約50万円です。アパート立地や周辺の開発状況にもよりますが、一般に毎月の家賃4万程度で物件を運用する場合は木造、6万円以上で運用する場合にはRC造の物件が適していると言われています。

 

②減価償却が早い

減価償却費を計算する上で必要なのが法定耐用年数ですが、「RC物件は47年」「木造物件は22年」と構造ごとに決められており、木造物件は減価償却が早いためRC物件と比べると節税効果が高くなります。

 

③修繕しやすい

また、修繕費の面から見ても、木造は建築構造が単純なため、リフォームやメンテナンスがしやすいという特徴があります。

 

④固定資産税が安い

木造物件は、各市町村に毎年支払う固定資産税が安いのも魅力です。固定資産税は、毎年発表される地価公示価格を元にして決められた固定資産税評価額に、1.4%の税率を掛けた額が課税されます。一般に固定資産税評価額は不動産価格の60~70%、新築時の建設価格の50%程度と言われています。木造物件は、制度上は経年劣化が早いとみなされ、納税額をおさえられます。

 

⑤維持コストが低い

木造建築は、構造的に大規模化できないという制約があるため、受電設備、受水層、エレベーターなどは不要になります。その分、共用電灯の消費電力も小さく、RC造と比較し、維持コストを抑えることができます。

 

これらメリットがある木造アパートの不動産投資ですが、その逆にデメリットとしては以下が考えられます。

 

①耐用年数が短い

木造物件の法定耐用年数が22年と短いので、減価償却費を多く計上できるの反面、長期の融資を引く事が困難になります。銀行は耐用年数までの期間しか融資を出してくれないところが多く、築22年の木造アパートは銀行での融資が難しいのが現実です。

 

②積算評価が低い

上記の通り減価償却が早いので、金融機関での積算評価がでにくく、融資を引きづらいことが多いとも言えます。築20年近い木造アパートの場合、建物価格がほとんどなく、土地値での価値しか認められない事が多くなってしまいます。

 

③火事に弱い

一般の木造建物は火に弱いことになります。比較的新しい木造建物の場合、外壁には燃えにくい材料が使用されており、内装も燃えにくい石膏ボードで作られていますが、構造部材が木なので火事に弱いことには変わりありません。ただ、木造でも耐火構造や準耐火構造も可能なので、費用をかければ比較的火に強い木造建物の建設も可能です。

 

④防音・遮音性能が劣る

木造は材料自体が軽く防音・遮音性能には不向きであり、木造壁は芯材を内装パネルでサンドイッチしただけの構造なので、防音・遮音性能はあまり期待できません。

 

 

RCマンションの投資における
メリット&デメリット

 

続いて、RCマンションについて。RCマンションの投資メリットも5つ挙げてみましょう。

 

①耐久性・耐火性がある

RCは高価である一方、強度なコンクリートと鉄筋を組み合わせて建設されており、耐火性能に優れています。また室内の機密性が高く、冷暖房を使って室内温度もコントロールもしやすいため、省エネ効果も期待できます。

 

②耐震性・防音に優れている

RCは一般的に数十年~百年間住み続けられる耐久性があり、地震にも強い建築構造です。実際、東日本大震災の際でも最も被害が少なかったという調査結果もあります。また、木造物件と比較して遮音性能にも優れています。

 

③資産価値・賃料が下がりにくい

建築から時間が経てば経つほど家賃は下がる傾向がありますが、RC物件は賃料の下落が少ない傾向にあります。また、木造物件の家賃は建設から10年で95%程度に下落するのに対し、RC物件の下落幅は小さい傾向にあります。その傾向は、築20年を超えるとさらに顕著なものになります。

 

④長期融資が引きやすい

耐用年数が長いため、長期融資を引くことが可能です。RC造は、耐用年数が47年ですので、理論的にはRC造で築20年以下であれば返済期間が27年以上の融資を受ける事が可能です。

 

⑤賃貸で入居付けに有利

入居者に人気があるのはRC造です。特に同じ築古物件となると、RC造の方が入居者が集まりやすい傾向にあります。

 

これらメリットに対して、RCマンションのデメリットは以下が考えられます。

 

①修繕費や維持費が高い

建物規模が大きくなるので、当然ながら共用部分に関わる経費が多くなることです。エレベーター、受電設備、浄水タンクなど、木造の小規模不動産にはない経費がかかってきます。清掃代、セキュリティを維持するための保守管理料もあります。さらに、築30年以上になっても、木造のように壊すという選択肢がないため、配管工事や外壁の大規模修繕などが発生してきます。ただし、こうした経費もRCマンションであれば高めの家賃設定ができ、家賃収入で回収できる可能性もあるため、収益力のある物件さえ買えば大きな損失になることはないかもしれません。

 

②物件価格・固定資産税が高額

RCマンションは物件あたりの建築費用が高くなる分、それが購入価格にも反映される格好になってしまいます。また、木造に比べ、建物評価が高くなるため、その分固定資産税が多くなります。

 

③収益効率(利回り)が悪い

上記のように、物件価格は高額になるため、利回りも自然と木造より劣ることになってしまいます。ただし、RCは融資が組みやすく、転売も容易であるなどのメリットがあるのですが、やはり視点が長期になってしまい、短期的にキャッシュを生みたいという人には向かないと思われます。

 

 

メリット&デメリットはもちろん
建築予定の土地も調査すべき

 

土地によって用途地域が決まっており、建ぺい率、容積率が制限されています。RC造の5階建てマンションを建築したいと考えていたのに、実際は建てれなかった……といった可能性もあるのです。具体的には、都市計画法で第一種・第二種低層住居専用地域に定められている土地が該当します。

 

市街化調整区域や用途地域については、ぜひこちらの記事を参照してみてください。

 

事業用不動産が建築できない?市街化調整区域と用途地域について詳しく解説

 

投資金額・利回り・耐用年数をもとに
最適な投資先を検討すべき

 

以上、不動産投資における木造アパートとRCマンションを比較してきました。

 

総額費用やローンの頭金を抑えたい、短期間で減価償却=節税をしたい、土地に制約がある、短期で高い利回りを目指す人は木造アパート。融資を活用してキャッシュフローを得たい、中長期的に資産価値が下げず複数物件の投資にチャレンジしたい、全体の資産ポートフォリオと合わせて資産戦略を組みたい人はRCマンション。

 

大雑把ではありますが、木造アパートとRCマンションの投資だけを切り取って考えると、以上のような方向性が見えてきます。ただし、不動産投資はバランス戦略が重要です。それぞれにメリット・デメリットがあるため、例えば、木造物件を買ってキャッシュを貯めて、その木造で貯めたキャッシュでRC造物件を購入するといった具合に、戦略的に投資を進めていくことも考えられるでしょう。

 

今村不動産では、自社独自のオーダーメイド不動産投資サービス『OMI』で、地域に根差した価値ある木造アパートを順次開発しています。会員様には優先的にご案内させていただきますので、ご興味がございましたらこちらからご登録ください。

 

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