2024年の基準地価はどうだった? 最近の基準地価の傾向と今後について

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2024年の基準地価はどうだった? 最近の基準地価の傾向と今後について

不動産投資をしていると、よく耳にする地価。基準地価・公示地価・路線価など、ひとつの土地にはいくつかの価格がついています。このうちの「基準地価」は毎年9月中下旬頃に国土交通省から発表されますが、今年は9月17日に、2024年都道府県地価調査(2024年7月1日時点の基準地価)が公表されました。2024年の基準地価は全国平均で1.4%上昇し、1991年以来の高い伸び率でとなっています。

 

ところで、そもそも「基準地価」とは何なのか?公示地価と何が違うのか?とあらためて問われると、正確に答えるのは難しいかもしれません。

 

そこで今回は基準地価についてわかりやすく説明しながら、基準地価の最新動向や2024年最新の上昇率・平均価格ランキング、過去3年との比較で見える基準地価の傾向などを紹介していきたいと思います。

そもそも基準地価とは?
公示地価との違いは何か

 

まずはじめに「基準地価」についてあらためて解説していきます。基準地価は国土利用計画法にもとづき、都道府県がその年の7月1日時点における基準地の1㎡当たりの価格を判定するもので、毎年9月下旬ごろに国土交通省から公表されます。一般の土地取引のほかに、地方公共団体や民間企業の土地取引の目安として活用され「都道府県調査地価」とも呼ばれます。

 

公的機関が発表している土地の価格には、基準地価以外にも「公示地価」や「路線価」があります。それぞれの価格を混同してしまう方も多いので、あらためて整理してみましょう。

 

「公示地価」は国が調査した毎年1月1日時点の土地の価格です。基準地価は都道府県が調査しているものなので、公示地価と基準地価は調査団体が違うということになります。

 

「路線価」は相続税・贈与税を計算する際の基準となる土地の価格です。相続税路線価とも言われていてます。国税庁が調査をしていて、公示地価や基準地価と比較すると調査地点数がかなり多いのが特徴です。

 

 

公示地価と基準地価は、調査地点数が近いうえに、算出方法もほとんど同じです。ではなぜ、国が調査しているのになぜわざわざ都道府県も調査をするのでしょうか。それは、基準地価が1月1日時点で算出される公示価格の半年後に発表されるため、地価の速報値として公示価格の補完という役割を持っているからです。

 

ちなみに、基準地価は土地取引の価格審査を適正かつ円滑に進めるために、土地の適正な価格を知るための指標となるもので、実際の売買価格(実勢価格)とは異なります。例えば、売り主や買い主にとっては、その土地に建っている建物によって希望価格が変わることもあります。しかし、基準地価は調査地点に建物があっても「更地として」鑑定され、土地の使用目的や土地取引での事情は考慮されません。

 

 

基準地価はどこで調べる?
便利なサイトをご紹介

 

基準地価の公表を行なっている国土交通省のホームページにある専用ページにて、国土交通省地価公示(公示地価)とともに検索することができます。

 

また、詳細~大字の縮尺の地図で地価公示・都道府県地価調査の地点が地図上で確認できる「不動産情報ライブラリ」(不動産取引価格情報検索)もわかりやすく便利です。

 

さらに、NHKは日本全国の土地の価格変化をまとめたマップ2024年都道府県地価調査マップを公開していて、2024年7月1日時点の日本各地の地価や2014年から価格推移を確認できます。「観光地の地価が上昇している」「災害が起きた地域の地価が下落している」などが分かる非常に興味深いマップに仕上がっているので、活用しやすいかもしれません。

 

 

2024年の基準地価は?
最新の基準地価ランキング

ここからは2024年(令和6年度)の基準地価の動向について解説します。

 

参照:国土交通省 令和6年都道府県地価調査の概要
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/content/001762894.pdf

 

2024年の基準地価は、全国で見ると全用途平均・住宅地・商業地のいずれも3年連続で上昇しました。上昇幅は拡大していて、前年比1.4%増加という伸び率はバブル崩壊後約33年ぶり(1991年以来)です。

 

・住宅地は全国平均で0.9%上昇

2024年3月に日銀のマイナス金利政策は解除されましたが、依然と低金利の状態は続いています。そのため住宅需要は手堅く、三大都市圏の住宅地の平均上昇率は3.0%となっています。地方四市(札幌市・仙台市・広島市・福岡市)は5.6%と上昇率が特に高いですが、これは新駅開業や再開発による活性化の影響が大きいと考えられます。

 

・商業地は全国平均で2.4%上昇

特に東京圏(7.0%)・大阪圏(6.0%)・地方四市(8.7%)の上昇率が高い傾向にあります。インバウンドによりホテルや店舗の需要が高いこと、オフィスの空室率低下や賃料相場上昇によって収益が上がっていることから、商業地の地価上昇が続いています。一部観光地では、20%以上の高い上昇率になっていました。

 

 

住宅地においてももちろん上昇しているエリアも多くありますが、総合的に見ると商業地の上昇率が高くなっています。

 

その理由としては、住宅地が居住用としての土地取引が中心であるのに対して、商業地においてはそこで大きな収益を上げる事を目的とした土地取引が多い事が挙げられます。

 

例えば駅周辺の大規模再開発に伴い新たなオフィスビルや商業施設が生まれる、また駅周辺に1泊何万もするようなホテルが建設される、さらに月額賃料が高額なマンションなどが建設される、居住用の億ションが建設されるなど、商業地の土地は住宅地と比べて莫大な資金が動く事により上昇率が高まってきているのです。とりわけコロナ後の経済成長率の上昇、賃金の上昇、インバウンドの増加など様々な要素が複合的に絡み合って地価の上昇率を高める要因となっています。

 

また2024年の基準地価の特徴としては、大都市圏以外のエリアにおける地価回復傾向が挙げられます。三大都市圏を除く「地方圏」のうち、さらに札幌・仙台・広島・福岡の〝地方4市〟も除いた「その他の地域」で、全用途平均が0.2%上昇(同プラス0.2ポイント)となり、1992年以来32年ぶりに上昇に転じました。住宅地(0.1%下落)では下落が継続しているものの、商業地(0.5%上昇)が2年連続で上昇し、上昇幅も拡大したことなどから、全用途平均としてもプラスとなっています。

 

 

 

基準地価のはなぜ上下する?
地価が決まる理由

毎年地域によって地価は上昇・下落しますが、これは何が原因で起こるのでしょうか。

 

<地価が上昇する主な理由>

● 人口増加
● エリア人気(需要の増加)
● 都市開発(再開発)
● 新駅の開業や道路の整備
● インバウンド
● 金融緩和政策

 

住宅地と商業地における地価上昇は、人口増加や人流回復が大きな要因です。東京・大阪などの都市圏では人口は増加しているので、地価も上がり続けています。また、都市開発や交通機関の整備といった生活利便性・交通利便性の向上も、地価上昇の一因と言えます。2024年の基準地価では地方四市の地価が大きく上昇していましたが、特に上昇率が高かったのは福岡市博多区です。博多区の平均地価上昇率は住宅地13.4%、商業地15.0%でした。福岡市内では「博多コネクティッド」「天神ビッグバン」といった複数の再開発が進められています。

 

人気のリゾート地では、外国人によるインバウンドや、別荘・コンドミニアムの需要増大の影響も大きいでしょう。最近は一部地域において、移住者用住居の人気も高まっています。

 

さらに、金融緩和政策によって市場にお金が多く流れていることも地価上昇の要因と思われます。日銀はマイナス金利政策を解除しましたが、日本は依然として低金利状態が続いています。今後もし金利上昇が続けば、地価の上昇も落ち着く可能性はあるかもしれません。

 

 

<地価が下落する主な理由>

● 人口減少
● 需要の減少
● 観光客の減少
● 災害

 

上昇理由と逆、つまり人口が減ったり過疎化している地域など都市が衰退傾向にあると地価は下落します。2024年は、住宅地は29県、商業地は17県において、地価変動率がマイナスとなっていました。人口が減って高齢化が進むと、その地域の経済活動が停滞します。そうすると地元企業や観光業も低迷してしまい、負のスパイラルに陥ってしまうからです。

 

加えて、地震や豪雨などの自然災害が原因で地価が下落することもあります。2024年1月に起こった能登半島地震の影響で、石川県内には10%以上地価が下落した地点が複数ありました。

 

 

不動産投資をするなら
地価の動向にも意識を向けよう

 

全体的に見て、お住まいの地域の基準地価が上がっていた、という方も多いかもしれません。不動産投資において、基準地価は物件取得の際はもちろん、売却などの出口戦略でも重要な指標となってきます。ただし、投資家様がご自身で地価を算出するのは難しいものです。

 

今村不動産は総合ディベロッパーとして、特に関西圏の地価動向に関しては詳細な分析をもとに自社でも物件を調達しています。投資用物件のみならず、地価を含めた不動産投資戦略全般についてもご相談を承っていますので、お気軽にご連絡ください。

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