交通量だけじゃない!ロードサイド型店舗のテナント誘致
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幹線道路や郊外の生活道路沿いなど、車の交通量が比較的多いエリアにある「ロードサイド物件」。新型コロナウイルスや地方移住ブームなどで郊外都市が最注目されるなか、投資用不動産のジャンルとしても徐々に人気が高くなってきています。出店するテナントは多種多様ですが、事業用地としては「交通量の多さ」がテナント誘致の重要なポイントとなります。
交通量が多いということは、それだけ人目に触れる機会が多いということ。テナントとしては売り上げに直結しなくても、広告宣伝の役割として高い価値を見出し、さまざまな企業がロードサイド型の店舗を出店して運営する傾向にあります。
ただし、いくら交通量が多いからといって、出店するテナントの視点で見た際に、要件に合わず出店を見送られるケースもあります。そこで、今回は不動産投資としてロードサイド型の店舗を運用する場合に抑えておくべき、交通量以外のポイントについて解説します。
そもそもロードサイドに出店する
業種やテナントは?
ロードサイド型店舗の特徴はいくつかありますが、「交通量の多い主要幹線道路沿いに立地し」「比較的規模の大きい駐車場を備え」「車で来店する顧客を抱え」「比較的長時間の営業を行う」などの要件が挙げられます。このような要件を必要とするテナントを大別すると
1_ガソリンスタンドや自動車販売店
2_スーパー・紳士服・スポーツ用品等の量販店
3_レストランやパチンコ店等のレジャー施設
4_ホームセンター
に分類することができます。少し強引な分類ではありますが、一言にロードサイド型店舗といっても、これら分類したテナントによって物件に求めるニーズは少しずつ異なります。
テナントの業種によって求める
ロードサイドの要件が違うことも
1_ガソリンスタンドや自動車販売店
古くから存在する代表的なロードサイド型の店舗。業種柄、ロードサイドに立地していることが当然であると認識されているテナントです。これら業種にとって重要なポイントはズバリ「交通量の多さ」です。固定客が付きにくい業種でもあるため「いかに一見客を取り込めるか」を重視するためです。他にも、同業種である競合店との距離が近すぎると敬遠される傾向にあります。不動産投資としてこれらロードサイドテナントの誘致を目指す場合は、道路の交通量や競合店舗との距離が離れているかを調査してみる必要があります。
2_スーパー・紳士服・スポーツ用品等の量販店
商品販売を行う量販店の場合は、豊富な商品の品揃えと価格を武器にしたスケールメリットを追求する経営がメインになっています。これら業種に共通するのは「物流に有効な道路に面していること」。物流の効率化によりコストを最大限抑えることで、低単価でスケールメリットを追求するためです。そのため、高速道路のインター付近をはじめ、比較的土地代が安くて交通の便がよい立地が好まれる傾向にあります。
3_レストランやパチンコ店等のレジャー施設
これら業種に共通するのは「広い店舗面積&台数がおける駐車場」です。注目されるのは道路から見て駐車場が認知されやすく、また駐車場に進入しやすいかどうか。また一例ですが、消費者の生活圏における車での店舗までの移動時間は、だいたい5分程度と言われています。そのため、単に交通量が多いかではなく、3km圏内に見込み客の生活圏があるか否かもテナント出店の可否に重要な要素になる場合があります。
4_ホームセンター
ホームセンターは、一般利用客はもちろん、メインターゲットである設計や工事に関わる事業者にとって便利なことが求められます。つまり、大型の商品を数多く取り揃え、顧客は購入後に商品を積み込んで持ち帰るという特徴があるのです。その意味では、2の「物流に有利である」3の「広くて目立つ駐車場」に加え、「2方路以上の道路に面していること」も求められることが多いと言えます。商品の納入・荷受け場と、お客様の侵入側の道路を区分するためです。
以上のように、ロードサイド型の店舗といっても、出店するテナントによって判断要素は様々です。大前提である交通量はもちろんのこと、不動産投資としてロードサイド物件を運用する場合には、どんなテナントにとって活用しやすい場所かを見極めておくことが大切だと言えます。
また、道路を走る車の種類にも注目してみてください。トラックなど大型車の交通量が多い立地に量販店や飲食店を誘致した場合、騒音・渋滞・無断駐車などによって近隣トラブルに発展しないとも言い切れません。ロードサイドの立地はもちろん周辺地域や交通量・車の種類・時間帯など複合的な視点から調査したうえで、投資対象たりえるのかを判断する必要があると言えるでしょう。
鉄板人気は交差点!
特に着目すべきポイントは信号
ロードサイド型の店舗において、鉄板人気とも言えるのが四つ角の交差点です。どの方向からも視認性が高く、右折・左折や信号で車のスピードが落ち、さらに二方路からの集客が見込める「角地」であるため、テナント誘致にも有利だとされています。ただし、交差点であればなんでも良いという訳でもありません。交通量が多すぎると渋滞時に車を出しにくく敬遠されるといったデメリットもあります。また、交差点への進入直前はドライバーは対向車や右左折車などに注意を払っているため、店舗への認識が遅れます。そのため、交差点直前の信号近辺の立地は敬遠されることもあります。
交差点の2~3件手前、もしくは交差点を過ぎた奥の信号付近の立地が最も有利だとされています。同様に、道路に面する間口の広さも重要です。いくら好立地でも間口が狭ければ侵入の妨げになり、ドライバーが入ろうか悩んでいる間に通り過ぎてしまうことも。
以上のように、不動産投資としてロードサイド型の店舗を扱うには、複合的な要素を読み解き分析する経験や実績が求められるのです。
こんな場所には要注意!
見落としがちなテナント敬遠ポイント
●中央分離帯のある道路
意外な落とし穴は「中央分離帯」がある道路。中央分離帯がある道路は、基本的に店舗が面する片側の道路からしか入ることができません。中央分離帯を挟んでどちら側の道に交通量があるかは把握したいポイントです。交通量が多いと見せかけて、片側の車線は少ないなんてこともあり得ます。
●スピードが出やすい道路
もうひとつが、下り坂になっていたりしてスピードが出やすい道路です。特に下り坂のカーブ付近に入り口がある店舗は運転手からの視認性が悪く、スピードを急に落とすことができずに通り過ぎられることもしばしば。こんな立地も要注意です。
交通量以外に誘致するテナントや
地方の将来性を見越した店舗開発が重要
以上のように、不動産投資におけるロードサイトの店舗開発において、交通量の多さだけがテナント誘致にとって重要ではないことがご理解いただけたと思います。交通量はもちろんのこと、その場所に誘致するテナント側の要件を確認したうえで、店舗利用者の視点に立った土地や店舗の見極めと開発が大切になります。
これら諸条件を見極めて店舗開発を推進するのは、文字でまとめたほど簡単ではありません。なぜなら、同じ日本でも土地の地域性によって条件は大きく異なるからです。さらに過去数年や直近が好調だからといって安易にテナントを決めるのも得策ではありません。とりあえずコンビニを出店しておけば間違いない?地方のコンビニは需要が先細り、人手不足も深刻化していて生き残り競争が激化しています。企業規模が大きいテナントだから大丈夫?資金が豊富だからこそ、集客できないとなれば早期撤退の恐れもあります。
その地域、その場所で、必要とされるものは何か。これからの経済社会で求められるテナントの業態は何か。ただ不動産を売り買いするのではなく、これら市場動向や将来リサーチをもとに店舗開発を進めることが、ロードサイドの不動産投資成功の秘訣かも知れません。
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