不動産投資で「特定優良賃貸住宅(特優賃)」を選ぶメリットやデメリット、選び方のコツを紹介
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近年、特定優良賃貸住宅、通称「特優賃」への投資が注目されています。特優賃とは、国が定めた基準をクリアした良質な賃貸住宅で、入居者には家賃補助が支給される点が通常の賃貸住宅との大きな違いです。安定した家賃収入が見込めるため魅力的な投資先と言えるでしょう。しかし、特優賃への投資にはメリットだけでなく、デメリットや注意点も存在します。
本記事では、特優賃投資のメリット・デメリット、さらには失敗しないための物件選びのコツをご紹介します。特優賃への投資を検討している方、不動産投資で安定した収益を目指したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
「特定優良賃貸住宅(特優賃)」とは、家賃補助がある公的賃貸住宅制度
特定優良賃貸住宅とは、国が定めた基準を満たし、登録された賃貸住宅のことで、一般的に「特優賃」と略されます。より質の高い賃貸住宅を供給し、良好な居住環境を提供することを目的とした公的賃貸住宅制度です。
特優賃は、所得制限などの入居条件をクリアすれば家賃補助を受けられます。補助額は地域や物件によって異なりますが、一定割合が補助されるので一般的な相場よりも安く借りることができるのです。補助期間も物件によって異なりますが最長20年間の場合もあります。ただし、家賃補助を受けるためには所得制限のほか、国籍や同居者との関係性、保証会社所定の審査など、いくつかの条件を満たす必要があり、誰でも補助を受けられるわけではありません。
また、特優賃は入居者のニーズに合わせた様々なタイプの物件が存在します。子育て世帯向けの特優賃であれば、広々とした間取りで、公園や学校が近くにあるなど、ファミリー層にとって魅力的な物件が多いです。高齢者向けの特優賃では、バリアフリー設計や緊急通報システムなど、高齢者の生活をサポートする設備が整っていることが多いでしょう。
不動産投資で特定優良賃貸住宅を選ぶメリット
特定優良賃貸住宅を投資物件に選ぶことで得られるメリットは主に以下の2つです。
安定した収益が見込める
特優賃は、家賃補助制度によって入居者の家賃負担が軽減されるため、他の賃貸物件と比較して入居率が高く、安定した家賃収入を得られる可能性が高いです。一般的に、賃貸経営における最大の懸念事項は空室リスクですが、特優賃の場合は家賃補助による入居促進効果によってこのリスクが軽減されます。安定した入居率は、長期的な収益計画を立てる上で大きなメリットです。また、特優賃の入居者は比較的属性が安定している傾向があり、長期間の入居が見込めます。これにより、頻繁な入居者入れ替えによるコスト(原状回復費用や広告費など)や管理の手間を軽減可能です。しかし、すべての特優賃が必ずしも高利回りであるとは限りません。物件の立地や築年数、周辺環境、物件の設備などによって収益性は大きく変動します。例えば、交通アクセスが不便な場所にある物件や、老朽化が進んでいる物件は、家賃補助があっても入居需要が低く、結果として収益性が低い可能性があります。投資を検討する際は、これらの要素を総合的に判断する必要があります。
入居者の需要が高い
特優賃は家賃補助を受けられるため、所得制限内の世帯にとって非常に魅力的な物件です。特に、子育て世帯や高齢者世帯からの需要が高い傾向にあります。子育て世帯にとって家賃負担の軽減は、余裕を持った子育てを実現するために大きなメリットです。また、特優賃の中には、子育て支援施設が併設されている物件や、公園や学校が近くにある物件など、子育てに適した環境が整っている物件も多く存在します。高齢者世帯にとっても、家賃補助によって生活費を抑えながら、バリアフリー対応や緊急通報システムが設置された物件に住めることは安心して生活を送るうえで心強いでしょう。また、病院や介護施設が近くにあるなど生活環境が充実している場合も多く、こういった点も入居ニーズが高い理由の一つです。入居ニーズが高いことは、空室リスクの軽減と家賃収入の安定につながるため、特優賃は魅力的な投資先と言えるでしょう。
特定優良賃貸住宅への投資にはデメリットや注意点もある
特定優良賃貸住宅を投資物件に選ぶことにはデメリットも存在します。理解しておくことで、リスクを最小限に抑え、より効果的な投資を行うために以下の点を理解しておきましょう。
入居条件が厳しく空室期間が発生する可能性
特優賃は、家賃補助を受けることができるという大きなメリットがある一方で、入居者の所得制限や世帯人数など、一定の入居条件が設けられています。これらの条件は住宅供給の公平性を保つために必要ですが、投資家にとっては入居者候補が限られるというデメリットにもなります。入居希望者のプールが小さいと空室が発生した場合に次の入居者を見つけるまでに時間がかかかりますし、空室期間が長引くと投資収益率が低下してしまいます。
物件の築年数が古く修繕コストがかさむリスク
特優賃は公的賃貸住宅制度に基づいて建設されるため、一般の賃貸物件と比較して、頻繁な建て替えは行われにくく、築年数が古い物件も存在します。これは、初期投資額を抑えることができるというメリットにも繋がりますが、同時に建物の老朽化や設備の劣化による修繕コストの増加というリスクも抱えています。築年数が経過した物件は、配管の腐食や外壁のひび割れ、屋根の劣化など、様々な箇所で修繕が必要となる可能性が高くなります。また、給湯器やエアコンなどの設備も老朽化している場合が多く、交換費用が発生する可能性も考慮しなければなりません。これらの修繕費用やメンテナンス費用は、想定していた収益を圧迫する可能性があります。さらに、大規模な修繕工事が必要になった場合、入居者に一時的に退去してもらわなければならないケースもあるかもしれません。これは、入居者の生活に大きな影響を与えるだけでなく、投資家にとっても家賃収入の減少や、退去後の入居者募集費用など、経済的負担を増加させるリスクがあります。購入前に物件の状態をしっかりと確認し、長期的な修繕計画を立て、必要となる費用をあらかじめ見積もっておくことが重要です。
特定優良賃貸住宅への投資で失敗しないコツ
不動産投資において投資物件の見極めは最も重要です。特定優良賃貸住宅への投資で失敗しないために、物件の選び方のコツを3つ紹介します。
物件の立地や周辺環境を確認する
物件の立地は、入居者の需要に大きく影響する重要な要素です。そのため、投資物件として魅力的な特優賃を選ぶためには、周辺環境も含めた綿密な立地調査が欠かせません。例えば、最寄りの駅やバス停からの距離は入居者の日常生活に直結する重要なポイントです。また、バス停が近くにあるかどうかも車を持たない入居者にとっては重要な要素となります。さらに、学校、病院、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、銀行、郵便局など、生活に欠かせない施設へのアクセスも確認しましょう。これらの施設が徒歩圏内にある物件は、入居者にとって利便性が高く安定した入居ニーズが見込まれるでしょう。また、将来的な物件価値に影響を与える可能性があるため、周辺地域で再開発や大型商業施設の建設などの開発計画がないかどうかの確認も必須です。自治体や不動産会社が公開している情報を積極的に収集し、将来的な発展性を見据えた投資判断に努めましょう。
物件の築年数や設備状態を確認する
築年数は、物件の価値を大きく左右する要素の一つです。築年数が古い物件は、設備の老朽化や建物の劣化が進んでいる可能性が高く、将来的に修繕費用やメンテナンス費用がかさむことが予想されます。物件選びの際は、キッチン、浴室、トイレなどの水回り設備の状態、外壁や屋根の劣化状況、給湯器やエアコンなどの設備の耐用年数などを細かく確認しましょう。修繕や交換が必要な場合は、事前に費用を見積もり、投資計画にあらかじめ反映させておくことが重要です。また、建物の構造も確認しておきましょう。鉄筋コンクリート造の建物は、木造や軽量鉄骨造の建物と比較して耐用年数が長く、地震や火災にも強いというメリットがあります。一般的に、建物の価値は築年数が経過するほど低下します。この「残存価値」を考慮しながら長期的な計画を立てることは不動産投資の成功に欠かせません。購入時の価格だけでなく、将来売却する際の価格も想定し、長期的な収益性を評価する必要があります。
入居条件や審査基準を確認する
特優賃には、入居資格として所得制限や世帯人数などの条件が設けられています。これらの入居条件や審査基準は、物件によって異なるため、事前にしっかりと確認することが重要です。入居条件が厳しすぎると、入居希望者が少なくなり、空室リスクが高まります。逆に、入居条件が緩すぎると、家賃滞納や近隣トラブルなどのリスクが高まる可能性があります。安定した賃貸経営を行うためには、適切な入居条件と審査基準を設けている物件を選ぶ必要があります。入居条件や審査基準は、地域や物件によって異なります。自治体の窓口やウェブサイト、または物件の管理会社に問い合わせることで確認できます。投資候補としている物件について事前にしっかりと調べ、立地や築年数などのその他の要素も踏まえながら最適な物件を選定しましょう。また、入居者募集の方法や管理体制についても確認しておくと良いでしょう。スムーズな入居者募集と適切な管理体制は、空室リスクの軽減と安定した賃貸経営に繋がります。
入居者視点で住みやすい特定優良賃貸住宅を見極めることが安定収益を実現する鍵
特定優良賃貸住宅(特優賃)は、国や地方自治体からの家賃補助という大きなメリットがあり、入居者の家賃負担を軽減できるため、一般の賃貸物件と比較して入居率が高く、安定した収益を期待できる魅力的な投資物件です。特に、子育て世帯や高齢者世帯からの需要が高く、比較的長期的な入居が見込める点も投資家にとって大きなメリットと言えるでしょう。
しかし、入居条件の厳しさや物件の築年数の古さといったデメリットもあります。こうしたデメリットを理解せずに投資を行うと想定外の費用負担が発生したり、空室リスクに悩まされたりすることになりかねません。ぜひ本記事を参考に、特優賃へ投資するメリットとデメリットをしっかり理解したうえで入居ニーズの高い物件を見極めてみてください。また、入居者目線で物件を評価することも重要です。実際に物件を内覧し、日当たりや風通し、騒音レベルなどを確認することで、入居者が快適に過ごせる物件かどうかを判断できます。入居者にとって住みやすい物件は高い入居率と長期的な入居に繋がり、結果として安定した収益に貢献するでしょう。
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